セッション情報 一般演題

タイトル O-64:

Upside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアの2例

演者 渋谷 健吾(秋田組合総合病院 消化器科)
共同演者 渡部 博之(秋田組合総合病院 消化器科), 星野 孝男(秋田組合総合病院 消化器科), 藤井 公生(秋田組合総合病院 消化器科), 米山 和夫(秋田組合総合病院 消化器科), 和田 勲(秋田組合総合病院 消化器科), 津田 栄彦(秋田組合総合病院 消化器科), 大高 日本(秋田組合総合病院 消化器科), 木下 展克(秋田組合総合病院 消化器科)
抄録 【症例1】84歳、女性【主訴】嘔吐【既往歴】虫垂炎。高血圧、不整脈治療中【現病歴】平成25年8月22日から吐気、嘔吐あり同月24日当院救急外来受診した。胸部単純X線写真で縦隔部に鏡面像を認めた。CT検査で胃は拡張し穹隆部は腹腔内、胃前庭部は縦隔内にあり食道裂孔ヘルニアにupside down stomachを伴った状態と思われた。【入院後経過】入院後胃管挿入し約1500mlの胃内溶液が吸引された。吸引後のCT検査では全胃がupside down stomachの状態のまま縦隔内に脱出していた。消化管造影検査で胃に注入した造影剤が肛門側腸管に流出することが確認され胃管抜去食事再開した。その後嘔吐はないものの胃の位置に変化が見られず、症状再燃の可能性を考慮し本人と協議の上外科でヘルニア縫縮およびNissenの噴門形成術が行われた。術後経過良好で退院後症状の再燃を来していない。【症例2】88歳、女性【主訴】嘔吐【既往歴】虫垂炎、くも膜下出血、肺炎。白内障、リウマチ性多発筋痛症治療中【現病歴】平成25年8月30日から頻回の嘔吐が出現し翌日31日救急受診した。CT検査で症例1と同様胃は拡張し縦隔に前庭部と腹腔に穹隆部が位置する食道裂孔ヘルニアにupside down stomachを伴った状態と考えられた。【入院後経過】入院後胃管挿入で約800mlの胃内容物を吸引しその後嘔吐は消失した。消化管造影検査で全胃は縦隔内にupside downの状態で位置していたが造影剤の肛門側腸管への流出は良好であった。文献に準じ内視鏡的整復術を試みたが整復されなかった。外科手術を勧めたが固辞したため近医にて経過観察を行う方針で退院となった。退院約1ヶ月後に嘔吐を主訴に救急受診し再燃と思われたが、胃管挿入し約800mlの内容液吸引後症状軽快しそれ以上の治療を希望しなかった。【考察】高齢者の食道裂孔ヘルニアは比較的見ることの多い疾患であるが、胃が縦隔内に脱出し捻転したupside down stomachを伴うことは稀とされる。外科治療を行い現在まで再発を認めていない症例および外科治療を希望せずその後症状の再発をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 upside down stomach, 食道裂孔ヘルニア