セッション情報 一般演題

タイトル 062:

肝円蓋部の肝腫瘍に対して腹腔鏡併用経胸的横隔膜穿刺によるRFAの短期・中期成績

演者 田中 公貴(函館中央病院外科)
共同演者 児嶋 哲文(函館中央病院外科), 平口 悦郎(函館中央病院外科), 橋田 秀明(函館中央病院外科), 田本 英司(函館中央病院外科), 三井 潤(函館中央病院外科), 上野 峰(函館中央病院外科)
抄録 【序論】
小さな肝腫瘍の治療には経皮的RFA(Radiofrequency Ablation)により低侵襲に治療することできる。肝円蓋部に発生した肝腫瘍に対して経皮的RFAも行われるがしばしば困難である。また晩期合併症である横隔膜ヘルニアの発生率は1%未満と少ないが時に致命的である。RFAの適応であるが経皮的方法が困難な肝円蓋部にできた肝腫瘍に対し腹腔鏡併用の経胸的横隔膜穿刺によるRFAを施行した10例の短期成績について検討した。
【対象】
2009年から腹腔鏡併用のRFAを施行した10例について検討。 肝部分切除の併用例は2例、同時に2カ所のRFAを施行した症例を1例に認めた。RFAを施行した10症例11カ所の腫瘍を対象とした。性別は男女が5例ずつ。年齢は60歳から78歳。肝腫瘍の内訳は肝細胞癌が8例、転移性肝腫瘍が2例。腫瘍部位はS8が7例、S7が3例、S4が1例。腫瘍径は20mm以下が9例。ICG15分値20%以上が2例。
【手術方法】
シングルルーメンの挿管チューブで全身麻酔。左半側臥位。腹部に平均4本のポートを留置。第4か第5肋間前腋窩線上に12mmポートをoptical view法にて胸腔内に挿入。気胸にした後にそのポートを横隔膜に穿刺。ポート内を通したRFA針で腫瘍を焼灼。焼灼後に腹腔鏡にて横隔膜を縫合閉鎖。胸腔ドレーンを留置。
【成績】
手術で1カ所だけRFAのみ施行した7症例の手術時間は105分~187分(中央値137分)。2cmのRFA針を7例で使用。焼灼回数の中央値は3回。術後合併症は胸水貯留、胸腔からの出血、右上肢運動麻痺をそれぞれ1例に認めた。術後在院期間の中央値は16日。観察期間中に(118日~1134日、中央値686日)局所再発は一例も認めず、他部位での再発は5例に認めた。他病死が一例に認めた。
【結語】
本検討では術後在院期間は比較的長い症例を多く認めたが、RFAにまつわる合併症はほとんどなく、複数回の焼灼により高い局所制御率を得られたために、肝円蓋部に発生した経皮的方法が困難な肝腫瘍に対し経皮的RFAの代用になり得る手技と考える。
索引用語 肝腫瘍, Radiofrequency Ablation