セッション情報 一般演題

タイトル 165:

肝細胞癌(HCC)治癒切除十年後にHCC再発を認めた自己免疫性肝炎(AIH)の一例。

演者 酒井 健太郎(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)
共同演者 太田 雄(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 須藤 隆次(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 岡田 充巧(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 玉木 陽穂(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 麻生 和信(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 高添 愛(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 鈴木 裕子(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 岩本 英孝(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 今澤 雅子(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 山北 圭介(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 北野 陽平(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 羽田 勝計(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)
抄録 【症例】76歳、女性。【現病歴】平成5年5月に近医で肝機能障害を指摘され7月9日当科紹介初診。平成6年に抗核抗体、抗平滑筋抗体陽性およびIgG高値を認め、肝生検にてAIHと診断しPSLの投与を開始した。平成13年7月、肝S2に径4cm大のHCC初発を認め、当院外科にて肝S2部分切除、胆嚢摘出術を施行。今回、平成23年11月CTにて肝S3にHCC再発を認め精査加療目的に入院となった。【既往歴】平成6年SLE、平成13年くも膜下出血(クリッピング)。【嗜好】飲酒、喫煙歴なし【血液検査成績】肝胆道系酵素はいずれも正常範囲内で肝予備能はChild-Pugh:A(5点)、ICG R15:19.7%。肝炎ウイルスマーカーはHBV既感染パターンだった。【画像所見】CTでは肝S3表面に突出する早期濃染、wash outを呈する径15mm大の結節を認めた。血管造影では肝外側区にA3をfeederとする腫瘍濃染を認め、CTHAで濃染し、CTAPでperfusion defectを認めた。本例では肝予備能が比較的保たれていた事もあり平成24年2月3日、外科にて肝S3部分切除術を施行した。病理診断は多結節癒合型の中分化型肝癌で二種類の結節が癒合していた。【考察】これまでAIHのHCC合併は稀とされてきたが、AIHの予後改善に伴いLC例が増えHCC合併例が増加してきているとされる。肝発癌の機序については不明な部分が多く、ステロイドによる腫瘍免疫の低下が指摘されている一方、肝細胞の壊死、炎症反応を軽減し発癌が抑制されるという報告もある。本例では長期的にPSL5mgで隔日投与を行っており、またHBV既感染であった。近年ではHBV既感染後の肝発癌も報告されており厳密に両者を分ける事は困難であるが、AIHの長期経過中に二度の発癌を来たし肝切除を行う事ができた稀な症例と考え報告する。【結語】AIHに合併したHCCの切除例を経験した。AIHにおける発癌の機序については今後更なる検討が必要と考えられた。
索引用語 AIH, HCC