セッション情報 |
シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」
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タイトル |
S2-11:高齢者切除不能進行膵癌に対する新たな治療選択肢としての動注化学療法とその問題点
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演者 |
高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科) |
共同演者 |
秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 吉田 真誠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科DELIMITER札幌医大 第4内科), 中野 洋一郎(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 女澤 慎一(札幌共立医院 消化器内科), 竹内 幹也(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 外科), 宮西 浩嗣(札幌医大 第4内科), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院 健診センター), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 血液腫瘍内科), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科DELIMITER札幌共立医院 消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】高齢者人口の増加により、今後高齢者膵癌症例の増加が予想される。さらに現状では膵癌症例の大多数を切除不能な進行膵癌が占めている。そこで今回、膵周囲動脈塞栓術(TPPAE)+肝脾動注化学療法(HSAIC)を施行した高齢者切除不能進行膵癌症例の治療成績を非高齢者群と比較し、その有効性ならびに問題点について検討する。【対象および方法】対象は2001年4月から2012年3月までに当院で経験した切除不能進行膵癌Stage IV 341例中、TPPAE+HSAICを施行した167例。非高齢者群(65歳未満)は92例(55.1%)、高齢者群(65歳以上)は75例(44.9%)、各群の平均年齢はそれぞれ54.7±7.0, 73.0±6.0歳。TPPAE+HSAIC施行167例の内訳は、Stage IVa 61例(A群),肝転移のみのStage IVb 44例(B群)、腹膜播種を含むその他のStage IVb 62例(C群)であった。また各群の非高齢者:高齢者比率はそれぞれA群(28例:33例)、 B群(30例:14例)、C群(35例:27例)であった。治療効果はRECISTに準拠した。【結果】TPPAE+HSAICを施行した167例全体および非高齢者群:高齢者群のそれぞれの治療成績は、奏効率(%)がA群で69%(64.3%:55.9%),B群で73%(76.7%:64.3%),C群45.2%(40.0%:51.9%)であった。またMST(M)はそれぞれA群で21.0M(23.0M:20.0M)、B群で16.0M(16.0:14.5)、C群で9.0M(9.0M:8.0M)であった。TPPAE+HSAIC施行例において非高齢者群および高齢者群のMSTには有意差を認めなかった。【考案と結語】TPPAE+HSAICはStage IVaおよび肝転移のみ有するStage IVbにおいて良好な生命予後延長効果を認めた。また本療法は今回検討した各群において非高齢者群・高齢者群間の生存期間に有意差を認めず高齢者に対しても非高齢者と同等の成績を得ることが可能であった。肝以外の転移巣を有するStage IVb症例に対する効果は既報の成績と比較しても良好な成績ではあるが他の2群と比較して必ずしも十分な成績とは言えず今後の課題であると考えられた。本療法は高齢者切除不能膵癌に対して治療の一オプションとなる可能性があると考えられた。 |
索引用語 |
高齢者, 膵癌 |