セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 134:

消化管リンパ腫に発症した腸管合併症の検討

演者 在原 洋平(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科)
共同演者 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 三浦 翔吾(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理臨床検査室), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院 外科), 定免 渉(札幌医大 第四内科), 平子 匡(札幌医大 第四内科)
抄録 【背景】消化管病変を有する悪性リンパ腫はその経過中に腸閉塞・穿孔・消化管出血など腸管特有の合併症を認めることがあり,その場合は化学療法の中断を余儀なくされ生存率の低下につながる。一方,腸管合併症の発症率やそれを引き起こし易いリンパ腫の形態と病理組織型については報告が少なく不明な点が多い。このため,腸管合併症の手術適応を予測できれば消化管リンパ腫の治療方針を立てる上で有益である。【目的】自施設で過去5年間に経験した消化管リンパ腫症例における腸管合併症について,内視鏡像と病理組織型およびKi-67による増殖マーカーとの関連性について後方視的に検討した。【対象】2007年1月から2012年6月までの5年間で当科に受診した消化管悪性リンパ腫29例のうち,腸管合併症により手術を要した7症例(24.1%)を対象とした。【結果】腸管合併症により緊急手術を要した7例のうち6例が空腸・回腸病変を有する症例であった。手術を要した時期は初診時4例,治療経過中3例であった。病理組織型はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が7例中4例と最も多く,全身性リンパ腫の消化管浸潤例がほとんどであった(7例中6例)。形態学的には潰瘍型3例,隆起型2例,混合型1例であった。潰瘍型3例はいずれも半周以上の病変であり,Ul-IIIまたはIVであった。隆起型・混合型ではいずれも50mmを超える腫瘤であった。一方,化学療法後の腸管合併症を認めた3例は狭窄が2例で穿孔が1例であった。なお,Ki-67陽性率は高い症例が多かった。【考察】空腸・回腸病変を有する消化管リンパ腫の約半数で腸閉塞・穿孔・消化管出血による手術を要しており,小腸病変を有するリンパ腫症例は腸管合併症の高危険群である。(1)半周性以上の深掘れ潰瘍型や巨大腫瘤形成型,(2)全身性リンパ腫の消化管浸潤例,(3)DLBCLまたはKi-67陽性率の高値の小腸リンパ腫病変は,治療経過で腸管合併症をきたす頻度が高いと予想され,化学療法前に可能な限り小腸病変の切除を行う必要がある。
索引用語 腸管リンパ腫, 穿孔