セッション情報 一般演題

タイトル 071:

結腸静脈瘤からの下血に対しEVLを施行し長期間摂食可能であった膵癌の1例

演者 北川 翔(札幌厚生病院 第2消化器科)
共同演者 岡村 圭也(札幌厚生病院 第2消化器科), 宮川 宏之(札幌厚生病院 第2消化器科), 長川 達哉(札幌厚生病院 第2消化器科), 平山 敦(札幌厚生病院 第2消化器科), 奥 大樹(札幌厚生病院 第2消化器科)
抄録 【はじめに】結腸静脈瘤は異所性静脈瘤の中でも非常に稀な疾患であり、本邦でのEVLによる結腸静脈瘤の治療の報告は自験例を含め3例を認めるのみである。今回我々は結腸静脈瘤に対しEVLを施行し、長期間摂食が可能であった膵癌の1例を経験したので報告する。【症例】49歳男性。3か月前に膵頭部癌(StageIVb)と診断、外来で全身化学療法を施行するもPD。全身倦怠感を主訴に当科受診、精査加療目的に入院。第26病日に多量の下血を認め、緊急下部消化管内視鏡検査施行。全大腸に多量の凝血塊および血液の付着を認めるも、明らかな出血源を指摘できず終了。腹部造影CTで上腸間膜静脈への腫瘍浸潤および上行結腸から横行結腸周囲に拡張血管の発達を認め、出血の原因として結腸静脈瘤破裂の可能性を考えたが、本人の希望もあり絶食にて経過観察。その後も下血は続き、RCC-LRを計16単位輸血。第40病日に下部消化管内視鏡検査を施行。前回同様、全大腸に多量の凝血塊と血液が付着。上行結腸から横行結腸にF1程度の静脈瘤を認め4ヵ所EVL施行。治療不十分であったが、追加治療を望まれず経過観察。第50病日から再度下血し、計12単位輸血。追加治療および経口摂取への強い希望があり、第73、76病日にEVLを計14ヵ所追加。第80病日に54日ぶりに食事再開するも、その後は下血なく経過。第112病日に十二指腸閉塞に対し、経鼻胃管を留置するまで摂食が可能であった。【考察】膵癌での下血の原因として腫瘍出血以外に結腸静脈瘤を鑑別する必要がある。また結腸静脈瘤に対するEVLは今後有力な治療法となり得ると考えられた。
索引用語 結腸静脈瘤, EVL