セッション情報 一般演題

タイトル 090:

胆・膵管狭窄部突破困難例に対する新規内視鏡的アプローチ法-通電ダイレーターの臨床成績

演者 河上 洋(北海道大学 消化器内科)
共同演者 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 川久保 和道(北海道大学 消化器内科), 羽場 真(北海道大学 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学 消化器内科), 阿部 容子(北海道大学 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科)
抄録 【背景】慢性膵炎に合併する主膵管狭窄や各種良・悪性胆道狭窄に対する内視鏡的ステント留置術の有用性は確立されている.しかし,時に狭窄部突破が困難な例に遭遇する.【目的】狭窄部突破困難例に対する通電ダイレーターの臨床成績を明らかにすること.【対象と方法】2011年4月から2012年11月までに通電ダイレーター(6-Fr, Cysto-Gastro-Set)を使用して狭窄部突破を試みた16例(胆管:11例,主膵管5例)を対象とした.高周波発生装置はESG-100(Olympus medical system社製)を使用した.通電ダイレーターの使用適応は,ガイドワイヤーが狭窄部を通過後,細径・拡張用バルーン・専用拡張用カテーテル(Soehendra biliary dilation catheter; Cook-Japan)やSoehendra stent retriever(Cook-Japan)の使用によっても狭窄部突破が困難な場合とした.検討項目は,1)狭窄部突破率,2)ドレナージ成功率,3)偶発症発生率・内訳,とした.【結果】男女比 5:3,平均年齢 60.9歳(32~77歳),疾患は胆管狭窄11例(悪性腫瘍10例),主膵管狭窄は5例(アルコール性慢性膵炎5例)であった.症状は胆管狭窄の5例が黄疸を有しており,主膵管狭窄例では4例で腹痛を有していた.1)通電ダイレーターは全例で狭窄部突破が可能であった.2)全例で引き続くドレナージ術が可能であった.3)胆道狭窄例では1例に胆道出血(プラスチックステント閉塞に伴う急性閉塞性胆管炎も併発)がみられた.内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術への切り替えによる保存的治療により軽快した.主膵管狭窄例で1例に急性膵炎(軽症)が認められた.胆・膵管穿孔や実質損傷などの重症合併症は認められなかった.【結論】胆・膵管狭窄部突破困難例に対する通電ダイレーターは安全で有用であった.各種処置具の使用によっても狭窄部突破困難な場合には使用を考慮しても良いと考える.しかし,単施設,少数例の検討であり,今後は多施設共同研究による評価が望まれる.
索引用語 胆管狭窄, 膵管狭窄