セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 040:

麻痺性イレウスを初発症状として発見された褐色細胞腫の一例

演者 千田 圭悟(市立札幌病院)
共同演者 樋口 晶文(市立札幌病院), 西川 秀司(市立札幌病院), 永坂 敦(市立札幌病院), 中村 路夫(市立札幌病院)
抄録 【症例】57歳、男性【主訴】腹部膨満感・食欲不振【現病歴】2012年5月頃より腹部膨満感・食欲不振を認めるようになった。2012年8月25日より症状の増悪を認め、食事摂取不良となったため同年8月30日当科初診。初診時、著明な腹部膨満と腹部単純X線で著明な腸管ガスの貯留を認めたため、当科へ緊急入院となった。【既往歴】なし【家族歴】なし【内服薬】なし【生活歴】喫煙:20~45歳まで20本/日【入院時現症】BP 180/80mmHg、HR 94bpmと上昇。グル音は減弱しており、上腹部~下腹部の著明に膨隆を認めたが圧痛・反跳痛は認めなかった。採血結果では低球性低色素性貧血を認めたものの他に特筆すべき所見は認められなかった。【入院後経過】腹部骨盤造影CTにて胃の著名な拡張と小腸~直腸に著明な腸管ガス・液体貯留を認めたほか、左副腎部の強い増強効果を示す充実性の60x45x50mmの腫瘤性病変を認め褐色細胞腫が疑われた。血中アドレナリン1200 pg/ml・血中ノルアドレナリン 27000 pg/ml、尿中メタネフリン 1.8mg/day・尿中ノルメタネフリン 6.0mg/day、尿中アドレナリン 497μg/ml・尿中ノルアドレナリン 7090μg/mlとそれぞれ高値を示し、123I-MIBGシンチグラフィでは左腎頭側にドーナッツ状の集積見られ背側優位に帯状集積を認め、以上より褐色細胞腫と診断した。高血圧と麻痺性イレウスに対して2012年9月7日よりDoxazosin 4mg/2x内服開始。その結果腸管運動は改善し、翌日より排便を認め、血圧もコントロール良好であった。9月10日の腹部単純Xpで腸管ガス像の減少を認めたため、9月12日より食事開始。食事開始後も自覚症状は認めず、経過良好であったため9月17日退院となった。その後はDoxazosinを継続投与し、同年11月19日に当院泌尿器科で手術予定となった。今回上記の経過の症例を経験したので若干の文献的考察と共に報告する。
索引用語 麻痺性イレウス, 褐色細胞腫