セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | 047:特発性孤立性上腸間膜動脈解離9例の検討 |
演者 | 杉浦 諒(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
共同演者 | 太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 芹川 真哉(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 七尾 恭子(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 佐藤 康永(札幌徳洲会病院 内科) |
抄録 | 【目的】特発性孤立性上腸間膜動脈解離(以下SMA解離)は比較的稀な疾患であるが急性腹症の一つとしてその正確な診断は極めて重要である.今回,我々は当院で経験したSMA解離についての背景,CT所見,治療法について検討した.【対象】2008年10月から2012年10月までの間に当院でSMA解離と診断した11例について検討した.【結果】11例中男性が9例(82%)を占め平均年齢は55.2歳であった.既往歴として高血圧が5例(3例が内服治療中),脂質代謝異常症は6例(1例が内服治療中),喫煙歴は7例に認めた.症状の発症転帰は8例(73%)が突発性で3例(27%)は緩徐に発症していた.初診時血液検査では平均値で白血球 10400/mm3とやや高値であった以外は特記すべき所見は認めなかった.診断は全例造影CTを施行しSMAの異常所見をとらえることにより可能であった.SMAの解離は起始部から平均14.1mm(0~40mm)の部位で発症しており,血管解離は平均して長径72.3mm(55~130mm)であった.CTでは偽腔が血栓閉塞している偽腔閉鎖型が8例,偽腔への血流が残存している偽腔開存型が3例であった.診断時,造影早期相では全例で解離の診断ができたにもかかわらず,4例で解離の診断が困難であった.全例で腸管および腸間膜の造影効果は保たれていた.治療は3例で血管造影下にステント留置を行ったが8例は保存的治療を行い,すべての症例で治療経過は良好であった.【結論】1)SMA解離は比較的若年の男性に多く認められ,何らかの生活習慣病を6割に認めていた.2)造影CTで診断可能であるが造影平衡相のみでは診断が困難な例があり本例の診断には造影早期相が必須と考えられた.3)本疾患は多くの場合保存的治療が有効な予後良好な疾患であるが,ステント留置の適応など治療方針の決定においては症例の集積が必要と考えられた. |
索引用語 | 上腸間膜動脈解離, SMA解離 |