共同演者 |
太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 七尾 恭子(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
抄録 |
【目的】HGDUにおける止血後の再出血例に特徴的な素因を抽出する.【方法】2009年1月から2012年6月までに当院で入院加療したHGDU488例(M/F : 358 /130)のうち,止血後再出血(2nd look時の再焼灼を含む)をきたした75症例を対象に,年齢や背景疾患,服用薬,初回止血時のForrest分類等において,非再出血群と比較し,再出血危険因子を抽出した.【結果】再出血例の平均年齢は64.3歳(M/F:57/18)で,非再出血例の平均年齢は63.8歳 (M/F:301/112)であり,平均年齢・男女比ともに差はみられなかった(p=0.58,p=0.57).再出血の数は,胃60例,十二指腸15例で,各々の再出血率は胃17.9%,十二指腸9.8%で,胃の方が多かった.再出血例の服用歴で多いものは,ARB13.3%,低用量アスピリン8.0%,ロキソプロフェンNa 5.3%,HMG-CoA還元酵素阻害薬5.3%,SU剤4.0%であったが,いずれも非再出血例におけるこれらの服用率には差がみられなかった.また初回内視鏡時のForrest分類(laからllc間)においても,再出血群と非再出血群でその比率に差はみられなかった.初回止血法においては,再出血例では高周波凝固単独が78.7%,高周波凝固+トロンビンが4.0%,高周波凝固+HSEが17.3%であったが,非再出血例では各種併用が若干多い傾向はあるが,再出血例で用いられた止血法の比率と差はみられなかった.再出血例における潰瘍の特徴に関しては,胃のうち,処置同部位からの出血は19例(25%)で,同潰瘍底異部位からの出血は41例(55%),十二指腸のうち処置同部位からの出血は4例(5%)で,同潰瘍底異部位からの出血は11例(15%)で,胃・十二指腸双方ともに再出血においては,同潰瘍底でも処置した部位とは異なる箇所からの出血が多かった.同潰瘍底異部位からの再出血のうち,潰瘍の長径が3cmを超えるものは全体の68.4%であった.【結論】HGDUにおける止血の際には,特に長径が3cmを超えるものに関しては止血箇所以外の同潰瘍底の部位にも配慮し処置をすることが望ましい. |