セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 193:膵石乳頭部嵌頓による急性膵炎および閉塞性黄疸に対して,Needle KnifeによるPrecut Papillotomyが有効であった一例 |
演者 | 田中 一之(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野) |
共同演者 | 後藤 拓磨(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 河本 徹(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 井尻 学見(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 岡田 哲弘(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 坂谷 慧(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 堂腰 達矢(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 安藤 勝祥(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 富永 素矢(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 稲場 勇平(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 伊藤 貴博(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 田邊 裕貴(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤谷 幹浩(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学病院 消化器・血液腫瘍制御内科学分野) |
抄録 | 症例は80歳代男性.平成24年5月よりC型慢性肝炎・慢性膵炎・膵石にて当科外来通院していた.膵炎発作の既往はなかった.平成24年10月,心窩部痛を主訴に近医を受診.血液検査にて炎症反応と膵酵素の上昇および黄疸があり,胆石膵炎の疑いにて当院へ救急搬送となった.腹部CTでは,造影不良域を伴わない膵腫大,膵周囲に限局する炎症の波及を認めることから,CT Grade 1の急性膵炎と考えられた.また,乳頭部と膵頭部主膵管内にそれぞれ14×8mm,11×9mmの結石を認め,乳頭部より上流側の主膵管および総胆管は拡張していた.以上より,膵石乳頭部嵌頓による急性膵炎および閉塞性黄疸と診断し,緊急内視鏡検査を施行した.乳頭部は腫大し,膵管開口部に嵌頓する結石を確認し得た.通常の造影法またはwire-guided cannulation(WGC)法により結石を上流へ押し込むと,その後の砕石処置に難渋する可能性を考え,Needle KnifeによるPrecut Papillotomyを施行した.Precut後,Needle knifeや造影カテーテルを用い,結石を膵管軸において十二指腸側へ動かすことにより,乳白色の硬い結石を排石した.ERCPで膵頭部主膵管内に残存するdefectを認め,膵胆管ステントにてドレナージした.処置後より症状・検査所見は改善したが,第6病日に再度腹痛を伴う膵酵素上昇を認めた.CTでは,膵管ステントの脱落および残存していた膵石の自然排石が考えられた.そのうえで膵炎が再燃したため,胆管ステントやCTで指摘困難な膵石が膵炎の原因である可能性を考え,ERCPを施行.主膵管内に明らかなdefectがないことを確認し,胆管ステントを抜去した.その後の経過は良好にて第13病日退院とした.膵石乳頭部嵌頓により急性膵炎および閉塞性黄疸を合併した症例の報告は少ない.Precut Papillotomyにて治療した報告はさらに稀であり,検索し得た範囲内で数例のみであった.膵石乳頭部嵌頓症例におけるPrecut Papillotomyは早期の病状改善に有効と考え,報告する. |
索引用語 | 内視鏡治療, 膵石 |