セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 028:

術前診断が困難であった肝血管筋脂肪腫の一例

演者 藤好 直(北海道大学 消化器外科1)
共同演者 神山 俊哉(北海道大学 消化器外科1), 横尾 英樹(北海道大学 消化器外科1), 柿坂 達彦(北海道大学 消化器外科1), 若山 顕冶(北海道大学 消化器外科1), 敦賀 陽介(北海道大学 消化器外科1), 蒲池 浩文(北海道大学 消化器外科1), 佐々木 茂(札幌医科大学 内科学第一講座), 高木 秀安(札幌医科大学 内科学第一講座), 武冨 紹信(北海道大学 消化器外科1)
抄録 【背景】肝血管筋脂肪腫は比較的まれな良性疾患である。臨床的、病理組織学的に高分化型腺癌と類似点が多く、術前画像診断はしばしば困難で、切除標本で確定診断に至ることも少なくない。今回我々は肝細胞癌の術前診断で手術を行い、病理組織学的診断で肝血管脂肪腫であった1例を経験したので報告する。【症例】58歳女性。平成18年8月より肝機能異常指摘され、AIH疑いにて前医通院していた。平成24年6月の人間ドックのPETで肝S7に腫瘍性病変認め、肝細胞癌が疑われ、精査加療目的に当科紹介受診、入院となった。採血上は肝機能上昇を認めず、HBV陰性(既感染)、HCV陰性であった。腫瘍マーカーはAFP、PIVKA2いずれも上昇を認めなかった。画像所見では、腹部エコーでは腫瘍は高エコーであった。CTでは単純で内部は不均一、水より低いdensity領域も認め脂肪含有が疑われ、造影では早期濃染、平衡相でwashoutを認め肝細胞癌を第一に疑う所見であった。MRIでは、T1でlow、T2でhigh、diffusionで取り込みあり。EOB-MRIでは早期濃染、平衡相でwashoutし、肝細胞相で低信号として描出され、一部脂肪を含有する高分化型肝細胞癌や古典的肝細胞癌を疑う所見であった。以上より肝細胞癌が最も疑われ、腹腔鏡下肝S7部分切除術施行した。組織標本の肉眼所見は15×10mmのやや褐色調強い腫瘍であった。病理組織学的検査結果では脂肪細胞の集簇、大小血管新生、髄外造血の所見であった。免疫染色ではHMB-45、α-SMA陽性、Hepatocyte-1、c-kit陰性であり、angiomyolipomaの診断となった。【考察】今回我々は術前に確定診断に至らなかった肝血管筋脂肪腫の1例を経験したので、若干の考察を踏まえて報告する。
索引用語 肝血管筋脂肪腫, 肝細胞癌