セッション情報 一般演題

タイトル 156:

アミオダロン服用による肝機能障害を発症した3例

演者 助川 隆士(市立旭川病院 消化器内科)
共同演者 松本 昭範(市立旭川病院 消化器内科DELIMITER手稲ロイヤル病院 内科), 中嶋 駿介(市立旭川病院 消化器内科), 杉山 隆治(市立旭川病院 消化器内科), 鈴木 聡(市立旭川病院 消化器内科), 中村 和正(市立旭川病院 消化器内科), 小澤 賢一郎(市立旭川病院 消化器内科), 千葉 篤(市立旭川病院 消化器内科), 垂石 正樹(市立旭川病院 消化器内科), 斉藤 裕輔(市立旭川病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】アミオダロンは他薬剤に治療抵抗性を示す致死的心室性不整脈に使用される抗不整脈薬で,肝機能障害の副作用やCTにて肝実質の濃度の上昇が知られている.当院で肝不全症状を認めた2例を含め3例のアミオダロン服用による薬剤性肝障害を経験したので報告する.【症例1】50歳代男性,1999年に心筋梗塞の既往有り.2007年に心室性期外収縮の多発と多元性,R on Tがありアミオダロン400mg/日を開始し,200 mg/日で継続した.2008年には心室粗動(VF)があるため埋め込み型除細動器(ICD)を埋め込んだ.2009年ごろよりAST,ALTの上昇があり,2010年に心不全で入院した際,黄疸,羽ばたき振戦,高アンモニア血症,腹水の肝不全徴候を認めたため,アミオダロンを中止した.肝性脳症に対してBCAA製剤・二糖類製剤を開始したところ,症状は徐々に軽快し,約40日間で退院となった.1年後にはBCAA製剤・二糖類製剤を中止可能となり,現在は肝不全症状なく経過している.【症例2】70歳代男性,原因不明の左室機能不全あり,2008年にVFにてアミオダロンを400mg/日で開始,ICDを埋め込んだ.アミオダロンはその後200mg/日で継続した.2009年ごろよりAST,ALTの上昇が見られ,2012年に黄疸・腹水貯留あり,アミオダロンを中止した.徐々に黄疸・腹水は改善し,約50日で退院となった.【症例3】60歳代男性,1994年発症の心筋梗塞あり,2003年にVFにてアミオダロンを開始,100 mg/日にて継続した.2008年に心不全で入院時にVFがあり,200 mg/日に増量,ICDを埋め込んだ.その後より,徐々にAST,ALTの上昇が見られた.アミオダロンによる肝機能障害を疑い2011年に100 mg/日に減量し,AST,ALTは改善した.【結論】アミオダロンによる薬剤性肝障害を3例経験した.うち,2例は内服期間3年,4年で肝不全を呈した.アミオダロンは致死的な不整脈に対し使用されるため中止は困難であり,かつ肝機能障害も高度ではないため,継続されることが多い.肝機能障害の持続するまま服用継続すると肝不全を呈することもあり,副作用出現時は速やかな減量・中止を考慮する必要があると考えられた.
索引用語 アミオダロン, 肝機能障害