セッション情報 一般演題

タイトル 148:

超音波内視鏡下胆管胃吻合術(EUS-guided choledochogastrostomy:EUS-CGS)後に生じた金属ステント迷入を、内視鏡的に治療し得た1例

演者 川久保 和道(北海道大学 消化器内科)
共同演者 河上 洋(北海道大学 消化器内科), 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 羽場 真(北海道大学 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学 消化器内科), 阿部 容子(北海道大学 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科)
抄録  近年、超音波内視鏡下胆道ドレナージ術の有用性の報告が増加している。肝外胆管十二指腸吻合術(EUS-guided choledochoduodenostomy; EUS-CDS)および肝内胆管胃吻合術(EUS-guided hepaticogastrostomy; EUS-HGS)が主であるが,肝外胆管胃吻合術(EUS-guided choledochogastrostomy; EUS-CGS)の報告も散見される.今回われわれは,EUS-CGS後に遅発性に生じた金属ステント迷入に対し,内視鏡的治療を施行し得た1例を経験したので報告する. 症例は50歳代,女性,切除不能膵頭部癌による悪性胆道狭窄および消化管狭窄のため,前医にて胃空腸吻合術および経皮経肝的胆道ドレナージ術(PTBD)が施行されていた.今回,患者本人のPTBD tube抜去の強い希望があり,当科入院となった.PTBD後のため肝内胆管の拡張はなくEUS-HGSは困難であり.また,悪性消化管狭窄のため十二指腸へのスコープ通過は不可能であった.以上の状況を十分に説明し,informed consentを得た上でEUS-CGSを施行した。EUS-CGSは,EUSガイド下に胃前庭部から肝外胆管を19G穿刺針により穿刺した後に,径10 mm,長さ6 cmの金属ステント(Partially-covered Wallflex)を一期的に留置した.術後に腹痛を認めたが,保存的に軽快し,PTBD tubeを抜去後に退院となった.術後,外来化学療法を継続していたが,EUS-CGS 1ヶ月後,発熱のため当科を再診した.金属ステント不全による胆管炎を疑い,直視型内視鏡を胃前庭部に挿入すると,留置していた金属ステントは完全に胃壁内に埋没,迷入していた.瘻孔部からカテーテルにて挿管を試みたところ,瘻孔部を介して留置していた金属ステント内腔を介して肝内胆管にガイドワイヤーを送ることに成功した.胆管造影では金属ステントの遠位側先端は瘻孔内に位置していた.引き続き,新たな金属ステント(Partially-covered Wallflex)を,遠位端が胃内に十分に位置するように留置した.胆管炎は改善し3日後に退院した.術後半年現在,ステントのトラブルはなく,外来化学療法継続中である.
索引用語 超音波内視鏡下胆道ドレナージ, 偶発症