セッション情報 一般演題

タイトル 067:

重複膵管の1例

演者 阿部 容子(北海道大学 消化器内科)
共同演者 河上 洋(北海道大学 消化器内科), 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 川久保 和道(北海道大学 消化器内科), 羽場 真(北海道大学 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科)
抄録  代表的な膵管奇形として,膵・胆管合流異常,膵管癒合不全,輪状膵などが良く知られているが,重複膵管は稀である.今回われわれは,再発性急性膵炎の精査の結果,診断し得た,重複膵管の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は30歳代,女性.再発性急性膵炎の精査目的に当科入院となった.MRCP、EUSでは主膵管内に径5mm大の結石と尾側膵管の拡張がみられ,膵管内結石が再発性膵炎の原因と診断し,内視鏡的膵管口切開術および膵石除去術を計画した.ERCP施行時に観察した十二指腸乳頭部は正常であった.膵管造影では,膵頭部において拡張のない“足側”の膵管と拡張した“頭側”の膵管が認められ,その尾側には拡張主膵管が造影された.また,2つの膵管の分岐部には膵管内結石が認められた.内視鏡的治療は困難と考えられたが,再度主乳頭より膵管挿管を行うと,拡張した“頭側”膵管にカテーテルを挿入し得たため,膵管口切開術後にバルーンカテーテルにより膵管内結石の排石に成功した.結石除去後,“頭側”膵管から膵管造影を行ったところ,“足側”の膵管を介して,造影剤が十二指腸内に流出することが確認できたため,重複膵管(Wirsung duct)との最終診断に至った.内視鏡的治療後6ヵ月が経過しているが,膵炎の再燃は認められておらず,経過良好である.重複膵管はまれな膵管奇形であるが,膵液うっ滞から急性膵炎の原因となり得るため,再発性急性膵炎の原因疾患として知っておくべき病態である.
索引用語 膵管奇形, 重複膵管