共同演者 |
町田 卓郎(北海道消化器科病院 内科), 藤澤 良樹(北海道消化器科病院 内科), 加藤 貴司(北海道消化器科病院 内科), 碇 修二(北海道消化器科病院 内科), 佐々木 清貴(北海道消化器科病院 内科), 山田 裕人(北海道消化器科病院 内科), 加賀谷 英俊(北海道消化器科病院 内科), 中村 英明(北海道消化器科病院 内科), 目黒 高志(北海道消化器科病院 内科), 堀田 彰一(北海道消化器科病院 内科), 高橋 利幸(同 病理) |
抄録 |
【はじめに】肝原発悪性リンパ腫の頻度は低く、肝原発悪性腫瘍の0.07%、節外性に発生する悪性リンパ腫の中で0.41%とされる。【症例】82歳女性。高血圧のため近医通院中、腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され、精査加療目的に当院紹介。入院時血液検査:特記すべき異常は認めず、肝炎ウイルス陰性、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9・AFP)は陰性だった。腹部超音波検査:肝S5/8に境界不明瞭な低エコーの腫瘤を認めた。腹部造影CT:肝S5/8にlow density massを認め、腫瘍内部を脈管が貫通していた。腹部MRI:T1強調画像でlow intensity、T2強調画像でhigh intensityを示した。dynamic studyで早期よりわずかに染まり、後期でiso intensityを示した。またSPIOではhigh intensity、DWIでhigh intensityであった。確定診断のため肝生検を施行した。病理組織像では、核形の不正の目立つ核と類円形、小型の淡明~弱酸性の胞体を持つN/C比の高い異型細胞の増殖浸潤が見られた。また免疫組織所見では、AE1/AE3,CK7,CK20陰性、HepPar-1,AFP陰性、vimentin陽性、CD45は細胞膜に強陽性、CD10,CD20,CD79a陽性、Bcl-2は一部陽性。以上よりdiffuse large B-cell Lymphomaと診断した。R-CHOPを4コース施行し、腹部CTで腫瘤の著明な縮小を認め、sIL-2Rは治療前1417U/mlから治療後800U/mlに低下した。ADL低下のため化学療法は中止としたが、その後1年半の経過で腫瘍の増大なく、sIL-2Rも600U/ml台で安定している。【考察】医学中央雑誌で検索したところ、1983年から2010年までに肝原発悪性リンパ腫は37例の報告があり、HCV10例、HBV5例、肝炎との関連なし22例であった。今回我々は併存肝病変を伴わない正常肝に発生し、肝生検で確定診断に至り、化学療法で良好な経過を得た症例を経験したため文献的考察を加えて報告する。 |