セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 046:

右胃動脈瘤破裂による腹腔内出血を来したSegmental Arterial Mediolysis(SAM)の一例

演者 加藤 拓也(札幌東徳洲会病院消化器センター)
共同演者 松原 悠(札幌東徳洲会病院消化器センター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院消化器センター), 芹川 真哉(札幌東徳洲会病院消化器センター), 七尾 恭子(札幌東徳洲会病院消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院消化器センター), 太田 智之(札幌東徳洲会病院消化器センター), 斎藤 博哉(札幌東徳洲会病院 放射線科)
抄録  症例は57歳女性。総胆管結石による胆管炎を当科で治療し、急性胆管炎に伴う門脈血栓症に対し血栓溶解療法にてフォロー中であったが、平成24年10月某日に腹痛・嘔気を主訴に当院救急搬送された。血圧低下と腹水貯留を認め, CT検査を施行したところ、胃下方に大きな血腫と右胃動脈に多数の動脈瘤の存在を認めた。血管造影では右胃動脈に嚢状、瘤状に拡張した動脈瘤を数珠状に7個認めた。同様の所見は左肝動脈にも認められたが、出血源は右胃動脈であり、右胃動脈のすべての動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した。多発する動脈瘤の原因として動脈炎が考えられたが、抗核抗体, MPO-ANCA, PR3-ANCAなど各種抗体検査を施行するもいずれも陰性であった。病理診断による確定診断には至らなかったが、腹部内蔵臓器に動脈瘤が多発していることや典型的な数珠状動脈瘤がみられたことから、本症例はSAM(分節性動脈中膜融解:Segmental Arterial Mediolysis)が原因の動脈瘤破裂と考えられた。コイル塞栓後、腹水は消失し再破裂も認めず順調に経過している。 SAMは腹部内蔵動脈に中膜の分節性の融解が起こり、動脈瘤、特に解離性動脈瘤を生じて破裂する、急性経過をとる疾患として知られている。一般に破裂に至る可能性が高いことが知られており、破裂した場合の死亡率は約30%と言われている。本症例は破裂例であったものの動脈塞栓術施行により一命を取り留めた。本邦での報告例はまだ少なく、貴重な症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 SAM, 腹腔内出血