セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 016:

免疫組織染色にてCK7陽性、CK20陰性、CDX2陰性であった上行結腸癌の1例

演者 佐藤 昌則(留萌市立病院 内科)
共同演者 宮島 治也(留萌市立病院 内科), 茎津 武大(留萌市立病院 内科), 野田 さや香(札幌医科大学 第四内科), 高松 昌史(留萌市立病院 外科), 野田 雄也(留萌市立病院 外科), 山崎 左雪(留萌市立病院 外科), 越湖 進(留萌市立病院 外科), 池田 英之(留萌市立病院 外科), 齊藤 忠範(留萌市立病院 総合内科), 上野 芳經(留萌市立病院 総合内科), 笹川 裕(留萌市立病院 総合内科)
抄録 【症例】50歳代女性【主訴】右側腹部腫瘤触知【既往歴】糖尿病【現病歴】糖尿病にて近医通院中であった。同院受診時に右上腹部に腫瘤を触知し、腹部エコーにてpseudo kidney signが確認され、上行結腸癌疑いにて当院紹介受診となった。下部内視鏡検査にて上行結腸に全周性の2型病変を認めた。病変部からの生検組織では壊死を背景に孤在性優位で大腸粘膜に浸潤する異型細胞を認めた。免疫染色にてCK7(+)、CK20(-)、CDX2(-)であり大腸癌としては非典型的であった。CT上は上行結腸に壁肥厚と腫大した所属リンパ節の他は明らかな腫瘍性病変は指摘できなかった。十二指腸との境界は一部不明瞭となっており、十二指腸への直接浸潤の可能性も考えられた。術前診断は上行結腸癌SE~SI,N2,M0 cStageIIIbとした。また、経過中に水様便を認め偽膜性腸炎が疑われバンコマイシン投与となった。右半結腸切除術が施行され、術中所見では上行結腸の腫瘍が十二指腸下降脚へ直接浸潤しており十二指腸合併切除術された。左右卵巣は正常であったが、腹腔内に腹水貯留していた。腹水細胞診では陰性であった。切除標本では上行結腸ほぼ全域にわたる著しい深掘れ潰瘍を伴う2型病変であり、最深部は十二指腸粘膜まで達した。提出されたリンパ節に腫大は認めたが転移は0/20であり、SI,N0,M0 pStageIIの結果であった。手術検体のHE染色では明らかな腺管形成を示さず、シート状、索状増生を認め、por1、por2と診断された。周囲腸管に偽膜の形成を確認した。神経内分泌腫瘍は否定的であった。手術材料にてもCK7(+)、CK20(-)、CDX2(-)であり、非典型的な原発性大腸癌の所見であった。【考察】NCCNの原発不明癌ガイドラインにおいては原発性大腸癌ではCK7+/CK20-を示すものは5%以下とされており、同様のCK表現型は卵巣癌、甲状腺癌、乳癌に多い。今回、CK7+/CK20-のまれな大腸癌の1例を経験したので報告する。
索引用語 CK7陽性, CK20陰性