セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 019:

難治性潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブの治療成績と予後予測因子の検討

演者 賀集 剛賢(札幌厚生病院 第一消化器科)
共同演者 田中 浩紀(札幌厚生病院 IBDセンター), 西園 一郎(札幌厚生病院 第一消化器科), 道上 篤(札幌厚生病院 第一消化器科), 乙黒 雄平(札幌厚生病院 第一消化器科), 鈴木 肇(札幌厚生病院 第一消化器科), 寺門 洋平(札幌厚生病院 第一消化器科), 山下 真幸(札幌厚生病院 IBDセンター), 石井 学(札幌厚生病院 IBDセンター), 菊池 仁(札幌厚生病院 第一消化器科), 西岡 均(札幌厚生病院 第一消化器科), 萩原 武(札幌厚生病院 第一消化器科), 小澤 広(札幌厚生病院 第一消化器科), 前田 聡(札幌厚生病院 第一消化器科), 黒河 聖(札幌厚生病院 第一消化器科), 本谷 聡(札幌厚生病院 IBDセンター), 今村 哲理(札幌厚生病院 第一消化器科DELIMITER札幌厚生病院 IBDセンター)
抄録 【背景と目的】インフリキシマブ(IFX)は難治性潰瘍性大腸炎(UC)治療における有用な治療オプションの一つとなったが,長期治療成績や効果予測因子については未だ不明な点が多い.今回我々は,IFXが投与された難治性UCを対象に,短期・長期治療成績および治療効果に影響する背景因子を検討した.【方法】2005年7月から2011年11月の間にIFXが投与された難治性UCのうち, Clinical Activity Index (CAI; Lichtiger index) が5以上であった75症例を対象とした.CAIが5以上改善した症例を有効,4以下となった症例を寛解と定義し,2週後・6週後の有効率・寛解率および1年後の寛解維持率を検討した.また,Kaplan-Meier法を用いて累積非手術率を検討した.さらに,寛解率・累積非手術率に影響する背景因子について,それぞれ多変量Cox回帰分析・ロジスティック回帰分析を用いて検討した.【結果】患者背景は,男性41例・女性34例,平均年齢36.2歳,平均罹病期間5.3年,平均CAI 9.5 (5-16) ,平均CRP 1.2mg/dl,全大腸炎型43例・左側大腸炎型30例・直腸炎型2例,ステロイド抵抗例43例・依存例32例であった.免疫調節薬が59例,5-アミノサリチル酸製剤が66例,プレドニゾロンが37例(平均投与量 8.5mg)で併用され,66例で血球成分除去療法,30例でカルシニューリン阻害剤(シクロスポリン18例,タクロリムス14例)による既治療が施行されていた.有効率は2週55%・6週61%,寛解率は2週45%・6週55%,1年後の寛解維持率は47%,累積非手術率は1年75%,3年70%,5年65%であった.6週後に寛解となった41症例は,85%が1年間寛解維持され,5年累積非手術率は86%であった.多変量解析では,有効率・寛解率・累積非手術率のいずれにおいてもカルシニューリン阻害剤既治療歴が有意な予後不良因子であった.【結論】IFXは難治性UCにおける寛解導入・維持・手術回避に有用であり,短期著効例は長期間の寛解維持・手術回避が期待される.一方,カルシニューリン阻害剤使用歴のあるUC患者においてはIFXの治療効果が十分に得られない可能性があることが示唆された.
索引用語 潰瘍性大腸炎, インフリキシマブ