抄録 |
【背景】B型慢性肝炎の治療ガイドライン(厚労省)では、drug freeやHBs抗原の陰性化を目指して、IFN単独療法やsequential療法が推奨されているが、大部分の症例で核酸アナログ製剤(NAs)の長期投与が行われているのが現状である。Matsumotoらは、HBV-DNA<3.0 log copies/ml、 HBe抗原陰性症例においてHBコア関連抗原(HBcrAg), HBs抗原を用いてNAs中止後の肝炎再燃率を層別化できる事を報告し(Matsumoto A, et al. Hepatol Res. 2012)、本邦でも「核酸アナログ薬中止に伴うリスク回避のための指針」が出されたが、Group2, group3の症例はNAsの中止後高い再燃率が予想される。我々はHBV-DNA<3.0 log copies/mlかつHBe抗原陰性のGroup2, Group3の症例に対してdrug freeを目指し、Entecavir(ETV)/PEG-IFNα2a(PEG)によるsequrntial療法を施行中の2例を経験したので報告する。【症例1】40歳代男性、HBs抗原176.1 IU/ml, HBcrAg 3.3 logU/ml、Group2の症例。ETVとPEG併用を4週間行い、その後PEG単独投与によるsequential療法を行った。24週の時点でHBs抗原1.88 IU/mlと著明に低下し、今後陰性化も期待される。【症例2】50歳代女性、HBs抗原2558 IU/ml, HBe抗体陰性、HBcrAg 4.3 logU/ml、Group3の症例。12週の時点でALT 354 U/mlまで上昇したが、HBe抗体は陽転化し、HBs抗原は1237IU/mlまで低下した。PEGの隔週投与でALTは改善し、25週時点でHBs抗原は172.5 IU/mlまで低下した。【結論】NAs投与中のB型慢性肝炎において中止後高い再燃率が予想されるGroup2, 3の症例でもETV/PEGによるsequential療法は有用であることが示唆された。 |