セッション情報 シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」

タイトル S2-5:

当院における超高齢者総胆管結石症に対する内視鏡治療の現況

演者 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター)
共同演者 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 芹川 真哉(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 七尾 恭子(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター)
抄録 【背景】近年我が国では高齢化が進んでおり、それに伴い高齢者の総胆管結石に関連する疾患も増えてきている。治療は内視鏡によるドレナージや結石の排石が求められるが、特に超高齢者では治療について各施設間で差があるのが現状である。これは超高齢者が基礎疾患を有している場合が多く、内視鏡治療後のADL低下なども懸念されるのが一因となっていると考える。【目的】当院で経験した超高齢者総胆管結石症への内視鏡治療の安全性と有用性を検討する。【方法】対象は2011年3月から2012年2月の間に、当院で総胆管結石、または総胆管結石に起因する病態と診断しERCPを施行した106例181件のうち、85歳以上の超高齢者29例54件とした。検討項目は(1)患者背景(2)治療内容・成績(3)偶発症(4)予後とした。【結果】(1)症例の平均年齢は89.6歳、男性9例女性20例であった。心肺疾患・脳疾患の既往は14例(48.2%)に認められ、抗血栓薬の内服は9例(31.0%)に認められた。治療契機は急性胆管炎12例(うち保存治療後2例)、総胆管結石9例、胆石膵炎6例、閉塞性黄疸2例であった。術後再建症例は認めなかった。(2)カニュレーション成功率は54例中53例(98.1%)であった。初回ドレナージ内容は、一期的排石9例、EBD留置14例、ENBD留置4例、造影のみ1例、施行不可1例であった。治療回数平均は1.86回であった。内視鏡的完全排石率は86.2%(29例中4例が排石せずEBD留置のみ)であった。(3)偶発症は膵炎2例、ESTによる穿孔2例、自己抜去1例であった。(4)治療後のADL評価としてBarthel indexを算定したところ、入院時の平均が32.1点、退院時の平均が47.4点と改善が認められた。死亡したのは1例(3.4%)のみで、死因は他病死であった。【結論】当院の総胆管結石症例では、超高齢者が占める割合が27.4%であった。結果としてERCP関連の死亡や、ADLの低下は認めなかったことから、超高齢者であっても安全にERCPを施行できると考える。
索引用語 超高齢者, ERCP