セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 051:

腸閉塞で発症し小腸内視鏡にて摘出しえた多量の消化管異物の1例

演者 佐藤 雅(名寄市立総合病院 消化器内科)
共同演者 佐藤 龍(名寄市立総合病院 消化器内科), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院 消化器内科), 鈴木 康秋(名寄市立総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】30歳代、男性。精神運動発達遅滞、てんかんにて障害者支援施設に入所中。反復性噴出性嘔吐を主訴に当科を初診し急性胃拡張の診断で入院となった。腹部XP、CTにて胃内と空腸に含気所見を伴う異物様陰影を認め、異食症の既往があることより、消化管異物が考えられた。経口小腸内視鏡を施行したところ、まず胃内に塊状になった緑色ビニール物を認めた。ネットで回収し、広げて確認したところ変性した医療用ゴム手袋であった。さらに十二指腸を観察すると、肛門側に向かって連続する潰瘍を認め、空腸に胃内と同様の塊状の変性ゴム手袋を認めた。スネアで回収を試みたが粘膜に引っかかり、出血・浮腫をきたしたため断念した。その後、2度にわたり経口小腸内視鏡で摘出を試みたが、スネアや三脚などで保持して回収しても、途中で脱落もしくは引っかかりによる腸管出血・浮腫をきたし断念した。その後、異物は回腸に移動したため、経肛門的小腸内視鏡による摘出に変更した。4回目の内視鏡で回腸末端まで引き抜き、5回目(第22病日)に完全摘出した。最終的に計7枚のゴム手袋を回収し、第28病日に退院した。【考察】本邦での医療用ゴム手袋による小腸異物は本症例を含め3例の報告があり、全例が精神的障害のある若年の男性であった。上部消化管異物のなかでも小腸異物は治療に難渋することが多く、前2例は開腹術にて異物除去を行ったが、本症例では小腸内視鏡により全ての異物を回収し手術を回避することができた。精神的障害のある患者の腸閉塞では、本症例のように異食症による小腸異物も念頭に置く必要があると考えられた。
索引用語 腸閉塞, 小腸異物