セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 012:

膀胱へ穿破した虫垂粘液嚢胞腺癌の一例

演者 柾木 喜晴(函館五稜郭病院 消化器内科)
共同演者 須藤 豪太(函館五稜郭病院 消化器内科), 五十嵐 哲祥(函館五稜郭病院 消化器内科), 岡 俊州(函館五稜郭病院 消化器内科), 谷津 高文(函館五稜郭病院 消化器内科), 笠原 薫(函館五稜郭病院 消化器内科), 山内 英敬(函館五稜郭病院 消化器内科), 小林 寿久(函館五稜郭病院 消化器内科), 矢和田 敦(函館五稜郭病院 消化器内科), 池田 健(函館五稜郭病院 パソロジーセンター)
抄録 症例は65歳,女性.主訴は特になし.平成24年7月,健診の検尿にて尿潜血(3+)であったため当院泌尿器科を受診した.精査目的に造影CTを撮影したところ,膀胱頂部の著明な壁肥厚,背側の壁破綻,さらに膀胱直上に接するように5cm大の腫瘍性病変を認め,一部腸管との交通を疑う所見を認めたため当科コンサルトとなった.下部消化管内視鏡では,虫垂開口部は粘膜下腫瘍様の隆起を呈しているように見えた.腸管ガストログラフィン造影を施行したところ,虫垂から腫瘍を経て膀胱内への造影剤の流出が認められ,交通が明らかとなった.造影MRIでは腫瘍は嚢胞性massとして同定されるものの,内部に造影効果のある壁在結節様の不整隆起性病変が認められ,腫瘍成分もあるものと考えられた.虫垂と思われる構造物と連続しているように見えることから,腫瘍は虫垂原発で,膀胱へ穿破した可能性が考えられ手術の方針となった.当院外科・泌尿器科にて回盲部切除,膀胱全摘,子宮合併切除,回腸導管術が施行された.病理結果より,虫垂粘液嚢胞腺癌と病理診断された.原発性虫垂癌は,消化管悪性腫瘍の1%以下の稀な癌である.虫垂は可動性を有する臓器のため,虫垂原発腫瘍は多臓器への浸潤をきたす可能性が比較的高いと考えられるが,本症例のごとく膀胱浸潤をきたした虫垂癌の報告は,我々が調べ得た限り自験例を含め本邦36例であった.今回我々は,膀胱へ穿破した虫垂粘液嚢胞腺癌の一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 虫垂粘液嚢胞腺癌, 膀胱穿破