セッション情報 一般演題

タイトル 176:

多発肝転移を伴った胃原発GISTの1例

演者 馬場 英(北海道社会保険病院 消化器センター)
共同演者 古家 乾(北海道社会保険病院 消化器センター), 小泉 忠志(北海道社会保険病院 消化器センター), 定岡 邦昌(北海道社会保険病院 消化器センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院 消化器センター), 服部 淳夫(北海道社会保険病院 病理部)
抄録 症例は60歳代男性。2012年10月に右季肋部痛を主訴に前医受診。前医より後腹膜血腫の疑いで当院紹介となった。触診にて心窩部から右季肋部にかけて圧痛と抵抗を認めた。CTでは胃噴門部に潰瘍形成を伴う最大径7cmの腫瘍と肝左葉外側区と肝右葉後区にそれぞれ最大径8cmと15cm大の著明な液状変性を伴ったhypervascularなcystic massを認め、GISTおよびその肝転移を疑った。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に6-7cm大の中心潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認めた。同部からの生検にて索状構造や腺腔構造などをとらず、充実性に増殖する紡錘形、卵円形細胞を認め、免疫染色ではCD34陽性、c-kit陽性、SMA陰性、S-100陰性であった。MIB-1は30%以下で、核分裂像は乏しかった。以上よりFletcher分類では中間リスク、Miettinen分類ではlowリスクの胃原発GISTと診断した。手術を考慮したが、胃全摘および肝切除を伴う拡大手術になること、腫瘍径が大きく肉眼的断端陰性を確保することが難しいことから、イマチニブによるNACを先行し、縮小が得られた時点で手術を行う方針とした。現在イマチニブを開始して1ヶ月目であるが、各種画像所見で腫瘍縮小を得られており、今後外科手術を行う予定である。Marginally resectable GISTや手術により術後合併症が予測されるGISTにおけるイマチニブの術前補助療法は臨床試験段階であり、その有用性は確認されていないが、少数例のretrospective studyの検討では、イマチニブに反応後の手術の安全性は認められており、無再発生存期間の延長が認められているとの報告もある。今回NACを施行し、手術を検討しているGISTを経験したので報告する。
索引用語 GIST, イマチニブ