セッション情報 |
シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」
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タイトル |
141:当院における内視鏡的止血術を要する高齢者出血性胃十二指腸潰瘍の現況
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演者 |
大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科) |
共同演者 |
原田 一顕(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 川本 泰之(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科) |
抄録 |
【背景】当院は年間約10,000件の救急患者を受け入れており,高齢者の消化管出血を診療する機会が多い.【目的】当院における内視鏡的止血術を要する高齢者出血性胃十二指腸潰瘍の現況を明らかにする.【対象と方法】2009年1月~2011年12月の期間,内視鏡的止血術を要した胃十二指腸潰瘍:215例(男性159 /女性56,胃潰瘍168 /十二指腸潰瘍 47),年齢中央値:68歳(24~99).症例をA群:64歳以下(現役世代),B群:65歳~74歳(前期高齢者),C群:75歳以上(後期高齢者)の3群に分け,1)止血を要した潰瘍の部位(胃 /十二指腸),2)Forrest分類 (Ia /Ib //IIa /IIb /IIc),3)止血方法(ヒートプローブ /局注 /クリップ /soft凝固 /APC /各併用),4)H.pylori感染(陽性 /陰性 /不明),5)NSAIDs /ステロイド内服率,6)抗血栓剤使用率,7)止血施行回数(平均値),8)内視鏡的止血成功率,9)抗血栓薬休薬後の血管イベント発生率 の各項目を検討した.【結果】1) 止血を要した潰瘍の部位 A(85例):69 /16.B(46例):34 /12.C(84例):65 / 19.2)Forrest 分類 A:6 /11 //58 /7 /3.B:4 /13 //21 /6 /2.C:7 /24 //46 /4 /3.3)止血方法 A:66 /0 /1 /2 /1 /15.B:36 /1 /1 /3 /0 /5.C:74 /0 /2 /0 /2 /6.4)H.pylori感染 A:46 /9 /30.B:17 /5 /24.C:8 /12 /64.5)NSAIDs /ステロイド内服率 A:15.3% /2.3%.B:26% /4.3%.C:39.2% /6%.6)抗血栓剤使用率 A:9.4%.B:43.5%.C:47.6%.7)止血施行回数 A:1.75回.B:1.6回.C:1.71回.8)内視鏡的止血成功率 A:98.8%.B:91.3%.C:92.9%.9)抗血栓薬休薬後の血管イベント発生率 A:0%(0/8).B:15% (3/20).C:2.5% (1/40).【まとめ】高齢者群では活動性出血で発見される頻度が多く,NSAIDsや抗血栓剤内服率の高さが影響している可能性が示唆された.止血はヒートプローブを軸とした他法の併用で大部分が対応可能であったが,止血困難例も一定数存在した.抗血栓薬休薬後の血管イベント発生率は高齢者群で高く,休薬期間を可能な限り短縮する必要性が示された. |
索引用語 |
上部消化管出血, 内視鏡的止血術 |