セッション情報 一般演題

タイトル 147:

膵炎予防のため胃全摘後の再建空腸から超音波内視鏡下膵管ドレナージを行い、経皮ルートで胆管および十二指腸に金属ステントを留置した胃癌術後再発の1例

演者 小野 道洋(札幌医科大学附属病院 第四内科)
共同演者 林 毅(札幌医科大学附属病院 第四内科), 石渡 裕俊(札幌医科大学附属病院 第四内科), 山田 尚太(札幌医科大学附属病院 第四内科), 神原 悠輔(札幌医科大学附属病院 第四内科), 久保 智之(札幌医科大学附属病院 第四内科), 堀口 拓人(札幌医科大学附属病院 第四内科), 平川 昌宏(札幌医科大学附属病院 第四内科), 佐藤 康史(札幌医科大学附属病院 第四内科), 佐藤 勉(札幌医科大学附属病院 第四内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学附属病院 第四内科), 瀧本 理修(札幌医科大学附属病院 第四内科), 小船 雅義(札幌医科大学附属病院 第四内科), 信岡 隆幸(札幌医科大学付属病院 第一外科), 平田 公一(札幌医科大学付属病院 第一外科), 加藤 淳二(札幌医科大学附属病院 第四内科)
抄録 超音波内視鏡下膵管ドレナージ(以下EUS-PD)は経乳頭的に膵管へのアプローチが困難な症例で有用となるが、胃全摘後症例での実施は確立されていない。今回、再建空腸経由からのEUS-PDが有用であった症例を経験したので報告する。症例は60歳代の男性。平成22年4月に4型胃癌と診断され、術前化学療法を施行した後、8月に胃全摘術+胆嚢摘出術+脾臓摘出術+Roux-en Y再建を受けた。術後にS1を投与されていたが、平成24年3月に十二指腸壁肥厚と胆管、膵管拡張が出現し、精査加療目的に同年4月に当科入院となった。造影CTで肝十二指腸間膜再発による十二指腸狭窄、胆管狭窄と診断し、ダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いた経乳頭的ドレナージを試みたが、十二指腸浸潤のため乳頭に到達できなかった。そこでB3からPTBDを施行し、内瘻化のため後日8Frチューブ先端を十二指腸に留置したが、急性膵炎を発症したため再度、胆管内留置とした。CPT-11+CDDP療法を2コース施行したが、十二指腸と胆管の狭窄は解除されなかった。そこで、安全な胆道内瘻化のため、再建空腸よりEUS下にワイヤーを主膵管から主乳頭に誘導し、DBEから膵管ステントを留置した後に、PTBDルートを利用して胆管および十二指腸狭窄部にMetalic stent(MS)を留置する方針とした。EUS下に主膵管を穿刺したがwireは主膵管狭窄のため十二指腸に誘導されなかった。そこで空腸側に膵管ステント(5Fr Geenen、COOK)を留置した。続いてDBEを挿入しPTBDルートからのワイヤーを保持し経皮ルートから十二指腸および胆管にMS(Niti-S 22x120mm, TaeWoongおよびWallFlex 60x10mm、Boston Scientific)を留置した。治療後に膵炎は発症しなかった。2日後に肝十二指腸間膜周囲に膵液貯留がみられたが、経皮的に穿刺吸引を2回施行することで消失した。また胆管ステント上端部のkinkingで胆管炎を生じたが、同部に経皮的にMSを追加留置することで改善した。体表のドレナージチューブがフリーとなりQOLが改善され、現在も化学療法を継続中である。
索引用語 EUS-PD, 再建空腸