セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
---|---|
タイトル | 009:ステロイド治療によりポリポーシスの著明な改善を認めたCronkhite-Canada症候群の1例 |
演者 | 安孫子 怜史(釧路労災病院 内科) |
共同演者 | 草島 英梨香(釧路労災病院 内科), 石川 麻倫(釧路労災病院 内科), 柴田 悠平(釧路労災病院 内科), 澤田 憲太郎(釧路労災病院 内科), 笠原 耕平(釧路労災病院 内科), 藤澤 倫子(釧路労災病院 内科), 村中 徹人(釧路労災病院 内科), 梅村 真知子(釧路労災病院 内科), 加藤 励(釧路労災病院 内科), 高坂 琢磨(釧路労災病院 内科), 高橋 一宏(釧路労災病院 内科), 曽我部 進(釧路労災病院 内科), 山本 文泰(釧路労災病院 内科), 小田 寿(釧路労災病院 内科), 宮城島 拓人(釧路労災病院 内科), 高橋 達郎(釧路労災病院 中央検査科) |
抄録 | 症例は80歳男性。20××年7月上旬から5~10回/日の水様便が続いていた。近医で加療を受けたが改善せず、9月に下部消化管内視鏡検査を施行した。回腸から直腸にかけて発赤の強いイクラ状の隆起性病変を多数認め、消化管ポリポーシスが疑われ、当科紹介となった。問診の結果、下痢症状と同時期より頭髪と眉毛の脱毛、四肢の爪甲の萎縮および剥離、味覚障害を認めていた。上部消化管内視鏡検査では幽門前庭部を中心に発赤した、広基性のポリープが多発していた。病理所見では上下部ともに、腺管の拡張像と小窩上皮の過形成像がみられ、間質は浮腫状・出血状で炎症細胞浸潤を伴っていた。以上の所見よりCronkhite-Canada症候群と診断した。絶食、中心静脈栄養管理のもとステロイド投与(プレドニゾロン40mg/日)を開始した。以後、度重なる中心静脈カテーテル感染や水様便の持続があり、体重減少と著明な低タンパク血症(Alb 2.87→1.81g/dL)を呈した。経過中、Clostridium difficile(以後、CD)腸炎の併発が判明し、経口でバンコマイシン投与を開始した。その後、速やかに下痢症状は改善し、食事摂取良好となり、低タンパク血症も改善した。内視鏡検査上ポリープの著明な縮小、改善が得られ、プレドニゾロン10mg/日まで減量し、当科退院となった。Cronkhite-Canada症候群は比較的稀とされる原因不明の非遺伝性の消化管ポリポーシスで、治療法が確立されていない疾患である。本例ではステロイド投与後、下痢症状の悪化等を認めたが、CD腸炎の併発が経過を複雑にしていたと考えられた。結果的に内視鏡上、ポリープの著明な改善を認めたことよりステロイドは有効であったと考えられた。 |
索引用語 | Cronkhite-Canada症候群, 消化管ポリポーシス |