セッション情報 |
シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」
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タイトル |
S1-2:80歳以上食道癌症例の手術治療
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演者 |
木ノ下 義宏(恵佑会札幌病院 外科) |
共同演者 |
山田 広幸(恵佑会札幌病院 外科), 上村 志臣(恵佑会札幌病院 外科), 坂下 啓太(恵佑会札幌病院 外科), 吉川 智宏(恵佑会札幌病院 外科), 細川 正夫(恵佑会札幌病院 外科) |
抄録 |
【目的】高齢者は心機能、呼吸機能等の臓器機能低下を伴うことが多く、一般に食道切除は過大侵襲となると考えられ敬遠されることが多い。当院で行われた80歳以上の食道癌切除について術後合併症、予後をretrospectiveに検討し、手術治療の選択肢があるかどうかを検討した。【方法】 1990年1月より2011年12月まで80歳以上の食道癌症例は266例で、初回治療として手術45例(16.9%)、内視鏡的治療40例(15.0%)、放射線単独138例(51.9%)、化学放射線療法16例(6.0%)、化学療法1例(0.3%)、未治療26例(9.8%)であった。当院では高齢者に対して1.手術を受ける意思表明ができる、2.2階まで階段を休まず上がれる、3.家族の協力体制がある、の3つの必須条件がそろい、術前検査で高度機能障害がなければ食道切除を行う方針としている。手術を選択した45例の内訳は、男/女比36/11、年齢82歳(80-99)、cStage(0/1/2A/2B/3/4A/4B)2/5/10/5/18/2/3例であった。【成績】 手術時間3.7時間(1.6-6.4)、出血量418ml(90-1220)、術後経口摂取開始日は16.8日(7-69)、術後在院日数は46日(13~167)であった。術後合併症は肺炎7例(15.5%)、肺塞栓1例(2.2%)縫合不全2例(4.4%minor1例、major1例)、反回神経麻痺2例(4.4%)、膿胸1例(2.2%)、腹腔内膿瘍1例(2.2%)、胆嚢炎1例(2.2%)、であった。45例中死亡例は26例でこのうち術死1例(2.2%、肺塞栓)、在院死1例(2.2%、原因不明の心停止)であった。癌死/他病死/不明は15/6/3例であった。45例のMSTは18.9か月、1/3/5年生存率は83.6/38.3/30.6%で、cStage2/3(33例)の1/3/5年生存率は86.5/45.6/38.6%であった。【結論】80歳以上高齢者食道癌の手術療法は、必須条件を満たせば選択肢の一つと考えられる。 |
索引用語 |
高齢者食道癌, 手術 |