セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 018:

腸管切除および人工肛門増設を要した慢性偽性腸閉塞の1例

演者 井尻 学見(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
共同演者 稲場 勇平(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 岡田 哲弘(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 坂谷 慧(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 堂腰 達矢(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 安藤 勝祥(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 河本 徹(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 上野 伸展(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 後藤 拓磨(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 富永 素矢(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 伊藤 貴博(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 田邊 裕貴(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤谷 幹浩(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学 医学部 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
抄録 症例は、71歳、男性。既往歴として50年前に虫垂切除術を受けている。他に糖尿病、高血圧、脂質異常症で近医に通院中。幼少児からの排便異常はない。2012年3月に腸閉塞を2度繰り返したが、上下部内視鏡検査及びイレウス管造影で明らかな閉塞や腸管癒着もなく保存的治療で改善した。同年7月に腸閉塞症状のため当院を受診し、腹部CTで全大腸の著名な拡張と多量の便塊が認められ入院となった。入院後すぐに多量の排便があり腸閉塞は解除されたが、bacterial translocationに伴う敗血症性ショックを併発したため腸管安静、 抗菌薬投与にて加療した。全身状態改善後に施行した下部内視鏡検査では明らかな異常は認められなかったが、step biopsyによる組織診断の結果、回腸から直腸にかけて神経線維の錯綜と腫大した神経細胞がみられた。このため神経原性の腸閉塞と診断し厳重な薬物療法による排便コントロールと食事を開始したが再び腸閉塞および敗血症性ショックとなった。CT検査およびガストロ造影では、小腸の拡張は軽度で流出良好であったことから、大腸限局型の慢性偽性腸閉塞と考えられた。内科治療抵抗性であったため、結腸切除及び回腸ストーマ増設術を施行した。その後は経過良好で現在外来通院中である。慢性偽性腸閉塞症は器質的な閉塞を認めないにも関わらず、腸管の著明な拡張と腸閉塞様の症状を起こす症候群であり確立した治療法はない。今回われわれは内科的治療に抵抗性で腸管切除および人工肛門増設を要した慢性偽性腸閉塞症の1 例を経験したので報告する。
索引用語 慢性偽性腸閉塞, 巨大結腸症