セッション情報 一般演題

タイトル 073:

札幌医科大学附属病院における膵癌診療の現況

演者 小野 道洋(札幌医科大学付属病院 第四内科)
共同演者 石渡 裕俊(札幌医科大学付属病院 第四内科), 林 毅(札幌医科大学付属病院 第四内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学付属病院 第四内科), 松永 康孝(札幌医科大学付属病院 第一内科), 志谷 真啓(札幌医科大学付属病院 第一内科), 本谷 雅代(札幌医科大学付属病院 第一内科), 篠村 恭久(札幌医科大学付属病院 第一内科), 斉藤 正人(札幌医科大学付属病院 放射線治療部), 廣川 直樹(札幌医科大学付属病院 放射線治療部), 坂田 耕一(札幌医科大学付属病院 放射線治療部), 今村 将史(札幌医科大学付属病院 第一外科), 木村 康利(札幌医科大学付属病院 第一外科), 平田 公一(札幌医科大学付属病院 第一外科), 加藤 淳二(札幌医科大学付属病院 第四内科)
抄録 【背景】膵癌は予後不良であり、標準治療である切除可能例での手術ならびに切除不能例での全身化学療法のみでは十分な予後が得られていない。そのため、新規治療の開発や多くの臨床試験が行われ、治療成績向上のための多くの試みがなされている。当院では膵癌診療に4科が関わっており、これまでの治療方針決定は各科独自の治療方針や、実施されている臨床試験によって左右されてきた現状がある。【目的】当院における膵癌の治療内容と成績を検討する。【方法】2012年9月までに当院で診断・治療した膵癌患者のうち、CT画像の検討と予後追跡調査が可能であった症例を対象とし、CT診断によるcStage別および初回治療内容(手術、化学放射線療法 (CRT)、動注化学療法、全身化学療法、ワクチン (CDH3由来HLA-A2402拘束性エピトープペプチド)併用の全身化学療法 (Vac)) 別に生存期間を解析した。【結果】363例(平均年齢67.4歳(37-89歳)、男性197例、女性166例)が本研究に組み入れられた。CT診断によるcStage I/II/III/IVa/IVbの内訳は5/0/47/155/154例で、全生存期間中央値(MST)は35.6/該当なし/30.9/17.7/7.8月であった。cStage I~IIIは全例で手術が行われていた。cStage IVaにおけるMSTは手術:21.7(n=63)、CRT:17.7(n=33)、動注化学療法:15.6(n=23)、全身化学療法:11.0(n=30)、Vac:23.2(n=3)およびBSC:5.5月(n=3)であった。手術療法の予後は全身化学療法並びに動注化学療法に対して有意に良好であったが、他治療は有意差をもって優れているものはなかった。一方、cStage IVbではCRT:14.3(n=20)、動注化学療法:7.8(n=27)、全身化学療法:7.6(n=78)、Vac:6.6(n=17)およびBSC:1.8月(n=12)であり、有意に優れた治療法は存在しなかった。【結語】今回の解析でcStageIVaの手術以外には、優れた治療法の特定には至らなかった。標準治療の確実な実施は勿論であるが、予後改善のため更なる治療法の工夫が望まれる。
索引用語 膵癌, 治療成績