セッション情報 | シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」 |
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タイトル | S2-7:高齢者胆石治療における経乳頭的胆嚢ステント留置術の有用性 |
演者 | 羽広 敦也(琴似ロイヤル病院 消化器病センター) |
共同演者 | 丹野 誠志(琴似ロイヤル病院 消化器病センター), 林 明宏(琴似ロイヤル病院 消化器病センター), 上野 敦盛(琴似ロイヤル病院 消化器病センター), 金野 陽高(琴似ロイヤル病院 消化器病センター), 本村 亘(琴似ロイヤル病院 消化器病センター), 野村 昭嘉(砂川市立病院 消化器内科), 吉田 行範(砂川市立病院 消化器内科) |
抄録 | 【目的】急性胆嚢炎では早期の胆嚢摘出術が推奨されているが、高齢者においては心疾患や呼吸器疾患、悪性腫瘍等の基礎疾患合併の頻度が高く早期の手術が困難な症例が存在する。また、認知症等の要因により長期間の経鼻もしくは経皮的胆嚢ドレナージチューブの留置がためらわれる症例もしばしば経験される。このような症例では経乳頭的胆嚢ステント留置術(ETGBS)が有用であることを我々は報告してきた。その後症例数が増加したため、高齢者胆石症におけるETGBSの有用性について新規症例を加えて検討を行った。【対象と方法】急性胆嚢炎と診断し、ETGBSを施行した65歳以上の15例(平均年齢80.5±9.4歳、男女比9:6)を対象として、基礎疾患、留置ステント種類、症状改善効果、胆嚢炎再燃有無、ステント留置期間、治療関連合併症について検討した。【結果】急性胆嚢炎と診断された15例は、慢性呼吸不全(2例)、脳梗塞後遺症(6例)、認知症(8例)、進行胃癌(2例)、進行肺癌(2例)、進行膵癌(1例)などの基礎疾患を有していた(重複あり)。留置ステントは5Fr もしくは7Fr の両端ピッグテールもしくはストレートタイプを使用し、ステント長は70mmが7例、100mmが7例、150mmが1例であった。ESTは全例で行った。ETGBS後に全例で症状改善と炎症反応の改善を認め、経口摂取または経管栄養の再開が可能であった。ETGBS施行後、胆嚢炎の再燃はみられなかった。4例に対しては待機的に胆嚢摘出術が施行された。ステント留置期間は胆摘術施行例(予定を含む)で25.5±7.5日、未施行例で197.8±43.8日であった。治療関連偶発症はみられず、胆嚢炎による死亡例は認めなかった。【結論】早期の胆嚢摘出術困難な胆嚢炎症例や認知症を有する高齢者の胆嚢炎症例においてETGBSは、重篤な合併症を認めず有用であった。今後、引き続き検討が必要であるが、ETGBSは高齢者胆石症の治療戦略において考慮される治療法のひとつと考えられた。 |
索引用語 | 胆石, 経乳頭的胆嚢ステント |