セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 043:

特発性胆嚢穿孔の一症例

演者 渡部 真裕子(日鋼記念病院消化器センター)
共同演者 檜森 亮吾(日鋼記念病院消化器センター), 岡 由衣(日鋼記念病院消化器センター), 小川 悠史(日鋼記念病院消化器センター), 根間 洋明(日鋼記念病院消化器センター), 横山 和典(日鋼記念病院消化器センター), 舩越 徹(日鋼記念病院消化器センター), 喜納 政哉(日鋼記念病院消化器センター), 林 俊治(日鋼記念病院消化器センター), 高田 譲二(日鋼記念病院消化器センター), 浜田  弘巳(日鋼記念病院消化器センター), 藤岡 保範(日鋼記念病院病理診断科)
抄録 急性胆嚢炎に合併する穿孔の頻度は2%~15%と報告され、その多くは胆石や著明な胆嚢炎を背景としている。特発性胆嚢穿孔は上記の原因を有さずに発症する比較的稀な疾患である。今回我々は突発性の腹痛で発症した特発性胆嚢穿孔の一症例を経験したので報告する。症例は81歳、男性。近医で高血圧や慢性胃炎の診断で診療を受けていた。午前7時頃に朝食を摂取し、午前9時30分頃に突然嘔吐をきたし、その後に強い下腹部痛を自覚して午前11時50分頃に当院に救急搬送された。全身状態に異常を認めなかったが、心窩部に強い圧痛を認めた。血液検査では白血球増多やCRP、膵胆道系酵素の上昇を認めなかった。CTでは胆嚢腫大や胆嚢結石、膵臓腫大、free airを認めなかったが、胆嚢周囲やダグラス窩に少量の液体貯留を認めた。入院後鎮痛剤投与で腹痛がやや軽減したものの、午後3時30分頃には反兆痛や筋性防御を認めるようになり、汎発性腹膜炎の診断で発症約12時間後に手術を施行した。腹腔鏡による観察で胆嚢周囲を中心にダグラス窩まで胆汁による汚染を認めたために開腹術に移行した。手術所見では胆嚢漿膜面の壊死穿孔を認め、胆嚢穿孔による腹膜炎と診断され、胆嚢摘徐術が施行された。病理組織学的には胆嚢粘膜には著変を認めず、部分的に胆嚢壁筋層にいたる壊死と同部を中心とした漿膜下脂肪組織の炎症性細胞浸潤を認めた。本例では腹痛以外に特有な所見を認めず術前診断が困難であった。
索引用語 胆嚢, 穿孔