セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 045:

診断に難渋した腹膜中皮腫の一例

演者 鈴木 脩斗(市立札幌病院)
共同演者 中村 路夫(市立札幌病院), 千田 圭吾(市立札幌病院), 小池 祐太(市立札幌病院), 藤田 興茂(市立札幌病院), 遠藤 文菜(市立札幌病院), 工藤 俊彦(市立札幌病院), 永坂 敦(市立札幌病院), 西川 秀司(市立札幌病院), 樋口 晶文(市立札幌病院)
抄録 症例は63歳男性。2012年5月頃から心窩部から左側腹部にかけて体動痛を自覚。2012年7月28日近医での上部消化管内視鏡検査で胃体上部から下部前壁に弾性硬の巨大な粘膜下腫瘍様隆起を認めたため当院紹介。CTでは胃大弯に密接する150mm×95mmの巨大腫瘤を認め、腹膜播種、肝転移、肺転移も認められた。画像上はGISTや悪性リンパ腫なども鑑別疾患として考えられ、診断確定のため経皮的肝生検を施行したが病理学的にも診断には難渋し、肉腫様癌あるいは多形性肉腫疑いとの評価であった。腫瘍増殖スピードも速く、速やかに治療を行う必要があったため患者様へのインフォームドコンセントの後、9月7日からdoxorubicin単剤による化学療法を開始することとした。その後もキャンサーボードにて再検討し開腹にて腫瘍より組織を採取した上で病理学的評価を加える方針とし9月18日開腹下生検施行。Malignant mesothelioma, mixed epithelial and sarcomatous mesotheliomaと診断に至った。病理結果を受けdoxorubicinからアリムタに変更することとしたがこの時点でCre3.31と腎機能低下しており全身状態が非常に悪く通常では化学療法の適応とならないところであったが、ご家族の強い希望もあり治療の危険性を十分説明した上で10月19日アリムタ投与した。残念ながら治療は奏効せず10月31日永眠された。肉腫と混合性の腹膜中皮腫という稀な疾患を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腹膜中皮腫, アリムタ