セッション情報 一般演題

タイトル 070:

早期から発生の過程を追跡しえた膵癌の一例

演者 森田 康太郎(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科)
共同演者 柳川 伸幸(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 藤永 明裕(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 高橋 慶太郎(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 藤林 周吾(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 立花 靖大(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 前田 重明(旭川医科大学 第3内科), 佐藤 智信(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 後藤 充(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 斎藤 義徳(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 折居 裕(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 柴田 好(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科)
抄録 症例は60歳代、男性。1993年に慢性C型肝炎、2005年頃よりC型肝硬変の診断となり瀉血および肝庇護療法を施行されていた。近医にて施行された腹部超音波検査で膵に14mm大の低エコー腫瘤を指摘され2012年2月20日に当院へ紹介となった。2月21日にEUSを施行したところ膵体部実質の現局性の萎縮を認め、尾側膵管の径は3mmに拡張していたが明らかな腫瘤は認めなかった。経過観察のため5月25日に撮影した造影CTで主膵管拡張は7mmに悪化、5月28日にEUSを再検したが前回同様に腫瘤は確認できなかった。7月27日に撮影したMRCPでは主膵管拡張は9.7mmに悪化しており、8月1日に再検した造影CTでは拡張した主膵管の頭側に接して12mm大の乏血性腫瘍が出現していた。8月7日にERCP下に採取した膵管生検、膵管ブラシ細胞診、ENPD留置による膵液細胞診はいずれも陰性であった。8月28日に腫瘍に対しEUS-FNAを施行したところ病理はgroup V, adenocarcinomaであり、膵癌,TS1,T1,N0,M0,stage Iの診断で9月25日に尾側膵切除+脾臓摘出術を施行した。病理診断はPb, 浸潤型, 14×13×13mm, tubular adenocarcinoma, moderately differentiated type, TS1, T1, sci, INFγ, ly1, v0, ne3, mpd(-), pCH(-), pDU(-), pS(-), pRP(+), pPV(-), pA(-), pPL(-), pOO(-), PCM(-), pDPM(-), D1, R0, pT3 pN1 Stage IIIであった。11月16日よりgemcitabineによる術後補助化学療法を開始している。今回われわれは早期から発生の過程を追跡しえた膵癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵癌, EUS-FNA