セッション情報 |
シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」
|
タイトル |
S2-9:高齢者に行う膵頭十二指腸切除についてのリスク評価
|
演者 |
及能 大輔(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座) |
共同演者 |
木村 康利(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 今村 将史(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 石井 雅之(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 信岡 隆幸(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 水口 徹(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 古畑 智久(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座), 平田 公一(札幌医科大学 医学部 外科学第一講座) |
抄録 |
【目的】近年高齢化社会が進む中で,我々外科医が高齢者に対して外科治療を行う機会も増している.今回我々は,膵頭十二指腸切除(PD)症例における,高齢者の術後合併症発生頻度,術後経口摂取能などを解析し,高齢者手術の危険性を考察した.【方法】2001年1月から2012年3月までに当教室で経験した膵胆道癌切除症例272例ならびに,2007年4月から2012年3月までの最近5年間のPD症例122例に対して,以下の検討を行った.1)2001年から2011年までの膵胆道癌切除症例における高齢者(80歳以上)の割合の推移を示した.2)PD症例の80歳以上をA群と80歳未満をB群とし,その2群間の手術時間,術中出血量,リンパ節郭清度,併存症(DM,循環器・呼吸器疾患など),術前免疫学的・栄養学的指標,ASAなど背景因子を比較した.3)上記2群間で術後感染性合併症(SSI,膵液瘻など)発生頻度,術後経口摂取能の指標として術後21日間の累積食事摂取量(TDI)を比較検討した.また術後合併症全般に関してはClavien-Dindo分類によるGrade評価を行い比較検討した.4)ロジスティック回帰分析を用い術後感染性合併症に影響を及ぼす因子を解析した.【成績】1)過去11年間の胆膵悪性腫瘍手術における超高齢者の割合は,平均9%であった.高齢者を後期高齢者75歳以上とした場合は,現在30%超と年々増加を認めた.2)PD症例122例中,A群は10例,B群は112例であった.この2群間では手術時間,出血量,郭清度,DM合併などに差を認めず,術前アルブミン値に差を認めた(p<0.05).3)SSI,膵液瘻発症,Clavien-Dindo分類Grade,TDIには差を認めなかった.4)術後感染性年齢を始め,手術時間,出血量,輸血,術前栄養学的指標,DMの有無との関連性を認めなかったが,BMIとASAが危険因子として抽出された(p<0.05).【結論】今回の検討からは,年齢のみがリスクとはならず,術前栄養状態や併存症など全身状態の評価が術後合併症発症には重要になると思われた. |
索引用語 |
膵頭十二指腸切除, 高齢者 |