セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 031:

術前に黄色肉芽腫性胆嚢炎および胆嚢癌と鑑別が困難であった胆嚢原発悪性リンパ腫の1例

演者 神原 悠輔(札幌医科大学 第四内科)
共同演者 林 毅(札幌医科大学 第四内科), 石渡 裕俊(札幌医科大学 第四内科), 小野 道洋(札幌医科大学 第四内科), 山内 夏未(札幌医科大学 第四内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 第四内科), 佐藤 勉(札幌医科大学 第四内科), 佐藤 康史(札幌医科大学 第四内科), 小船 雅義(札幌医科大学 第四内科), 瀧本 理修(札幌医科大学 第四内科), 木村 康利(札幌医科大学 第一外科), 平田 公一(札幌医科大学 第一外科), 長谷川 匡(札幌医科大学付属病院 病理部), 加藤 淳二(札幌医科大学 第四内科)
抄録 症例は70歳代、女性。2012年7月に上腹部痛を自覚し近医を受診、血液検査で肝障害を画像検査で胆嚢結石・胆嚢壁の全周性の肥厚を指摘され、精査目的に当科へ紹介入院となった。入院時に肝障害は認めず、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9とも正常であった。CTで胆嚢体部から底部に不均一に造影される全周性の壁肥厚を認め、壁内に複数の低吸収域が存在したが、胆嚢粘膜面および漿膜面は平滑で、積極的に癌を疑う所見はなかった。MRIで胆嚢壁は拡散強調画像でびまん性に高信号を呈した。腹部USでは胆嚢壁は全周性に肥厚し、一部の壁内には小嚢胞が多発し、肝床への浸潤を疑う部位を認めた。同領域の狙撃生検を施行したが病理学的確定診断は得られなかった。また内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)を行い、繰り返し洗浄細胞診を提出したが、ClassI~IIであった。総合的に黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)を疑ったが、胆嚢癌を否定できず、当院第一外科にて肝床切除を伴う拡大胆嚢摘出術を行った。肉眼的に胆嚢壁は著明に腫大、割面は均一な黄白色調を呈し、胆嚢内腔には無数のビリルビン結石を認めた。また、組織学的には、胆嚢上皮下間質および肝床に大型異型リンパ球のびまん性増殖を認め、免疫染色でCD20(+)、CD79a(+)、bcl-2(+)、CD3(-)であることから、悪性リンパ腫 (Diffuse Large B-cell Lymphoma)と診断した。PET/CTで他臓器に病変を認めず、胆嚢原発と考えられた。術後R-CHOP療法を開始し、5ヶ月経過した現在まで生存中である。胆嚢原発悪性リンパ腫は稀であり、画像および病理所見に若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆嚢原発悪性リンパ腫, びまん性胆嚢壁肥厚