セッション情報 シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」

タイトル S2-2:

高齢者の肝細胞癌に対するRFAの安全性と有用性について

演者 山崎 大(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 辻  邦彦(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 青木 敬則(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 姜 貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【目的】肝細胞癌(以下、HCC)の初発年齢は高齢化が進んでおり、高齢者に対する治療機会は年々増加している。今回、当センターにおける高齢者のHCCに対するラジオ波焼灼術(RFA)の治療成績について検討したので報告する。【対象】1999年9月から2012年11月までに当センターでRFAを施行したHCC 1223例1947病変中、初回治療にRFAを施行した初発HCC 349例を対象とした。【検討項目】70歳未満を非高齢者、70歳以上を高齢者と定義し、1.患者背景、2.RFAの合併症、3.RFA後の在院日数、4. 5年生存率、5.死因について両群で比較検討した。【結果】1. 非高齢者は183例で平均年齢は66歳(38-69歳)、高齢者は166例と約半数を占め平均76歳(70-93歳)であった。男女比は136:47 vs 96:70 と高齢者で有意に女性が多く(p=0.001)、PSは 2以上が7/183 (3.8%) vs 22/166 (13%) (p=0.001)、全身疾患の合併率は69/183 (38%) vs 122/166 (73%) (p<0.001) と高齢者でPSが低く合併疾患を有する例が有意に多く認められた。成因はHBVが 65/183 (36%) vs 13/166 (7.8%)で、HCVが 82/183 (45%) vs 110/166 (66%)、アルコール性が 30/183 (16%) vs 13/166 (7.8%)と非高齢者はHBVやアルコール起因が多く、高齢者はHCV起因が有意に多く認められた(p<0.001)。なお、両群で肝予備能とHCCの進行度に差はみられなかった。2. RFAの合併症の頻度に非高齢者7/183 (3.8%)と高齢者9/166 (5.4%)の間で差はみられず、重篤な合併症もなく、RFAは高齢者でも安全に施行可能であった。3. 治療後の在院日数も非高齢者6.1±27.3 日、高齢者6.3±28.6日と差はなく、高齢者に対してもRFAは非侵襲的であった。 4. 5年生存率は、非高齢者63%、高齢者66%で両群に有意差はなく、高齢者においてもRFAは有用であった。5. 死因は、非高齢者と高齢者で肝関連死は55/63 (87%) vs 32/52 (62%)、他病死は8/63 (13%) vs 20/52 (38%)と高齢者で他病死の割合が多かった(p=0.001)。【結語】RFAの治療成績に両群で差は認めず、RFAは高齢者のHCCに対する非侵襲的な安全で確実な局所療法と思われた。
索引用語 RFA, 肝細胞癌