セッション情報 |
一般演題(専修医(卒後3-5年))
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タイトル |
022:慢性HBVキャリアにおける再活性化肝障害の背景
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演者 |
山崎 大(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
共同演者 |
姜 貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 青木 敬則(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 辻 邦彦(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
抄録 |
【目的】血液悪性腫瘍以外の基礎疾患を有するHBsAg陽性の慢性HBVキャリア(HBVC)に、化学・免疫抑制療法を施行した際の再活性化頻度と、その背景を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】2006年2月より2012年10月までに、HBV再活性化肝障害を認めた自験8例における基礎疾患は、慢性関節リウマチ(RA)・肺癌・乳癌・卵巣癌・喉頭癌・咽頭癌であった。これらの6疾患で化学・免疫抑制療法を施行した患者を対象とし、1)HBVCの頻度、2)核酸アナログ(Nucs)非投与のHBVCにおけるHBV再活性化と肝障害の頻度、3)Nucs非投与でも再活性化肝障害をきたさなかった症例の背景、4)Nucs予防投与率を検討した。【成績】1)6疾患合計1644例におけるHBVCの頻度は1.9%(n=32)であった。基礎疾患別にはRA: 1.3%(8/595)、肺癌: 2.2%(16/724)、乳癌: 2.6%(4/157)、卵巣癌: 1.6%(2/126)、咽頭癌: 3.6%(1/28)、喉頭癌: 7.1%(1/14)であった。2)Nucs非投与のHBVCにおいて再活性化は50%(9/18)、肝障害は44.4%(8/18)で生じ、基礎疾患別にはRA: 40%(2/5)、肺癌: 14.3%(1/7)、乳癌: 66.7%(2/3)、卵巣癌100%(1/1)、咽頭癌: 100%(1/1)、喉頭癌: 100%(1/1)であった。3)再活性化肝障害を認めない10例では再活性化肝障害8例に比して、高齢 (69.3±7.8 vs.57.4±6.2歳, p=0.002) で、ステロイド総投与量(プレドニゾロン換算)は少なく(289.2 vs. 5275.3mg, p=0.01)、抗癌剤または免疫抑制薬が単剤である割合が高かった(70%[7/10] vs. 0%[0/8], p=0.01)。性、化学・免疫抑制療法期間、治療前AST、ALT、PT活性は両群間で違いがなかった。4)Nucs予防投与率は43.8%(14/32)で、RA: 37.5%(3/8)、肺癌: 56.3%(9/16)、乳癌: 25%(1/4)、卵巣癌50%(1/2)、咽頭癌: 0%(0/1)、喉頭癌: 0%(0/1)であり、HBV再活性化を認めなかった。【結語】Nucs非投与のHBVCに発症した固形癌ないしRA例におけるHBV再活性化肝障害の頻度は44.4%と高率であり、治療開始時のNucs予防投与は妥当と考えられた。一方、高齢で、ステロイド総投与量が少なく、投与薬剤が単剤で済むHBVCでは再活性化の頻度が低いことが示唆された。 |
索引用語 |
HBV, 再活性化 |