セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
---|---|
タイトル | 030:腫瘍マーカー高値で発見された黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例 |
演者 | 巌築 慶一(北海道大学病院 消化器外科I) |
共同演者 | 蒲池 浩文(北海道大学病院 消化器外科I), 木井 修平(北海道大学病院 消化器外科I), 若山 顕治(北海道大学病院 消化器外科I), 敦賀 陽介(北海道大学病院 消化器外科I), 柿坂 達彦(北海道大学病院 消化器外科I), 横尾 英樹(北海道大学病院 消化器外科I), 神山 俊哉(北海道大学病院 消化器外科I), 武冨 紹信(北海道大学病院 消化器外科I) |
抄録 | 黄色肉芽腫性胆嚢炎は黄色肉芽腫性の胆嚢壁肥厚を特徴とする比較的稀な慢性胆嚢炎の亜型で、炎症が浸潤性に波及することから胆嚢癌との鑑別が問題となる。今回、腫瘍マーカー高値を契機に発見され、胆嚢癌との鑑別が問題となった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例を経験したので報告する【症例】72歳男性、胃癌に対し当科にて胃全摘術試行後、定期フォローされていた。フォロー中の採血にてCEAの上昇傾向を認め、全身精査施行。胃癌の明らかな再発所見は認められなかったが、CTにて胆嚢壁の肥厚、壁および胆嚢周囲の肝実質の造影効果を認め、またPET-CTにて胆嚢壁へのFDG集積を認めた。しかし、腹部エコーでは胆嚢粘膜の構造は保たれ、肝への直接浸潤所見は認めなかった。EOB-MRIでも肝への浸潤を示唆する所見は認めず、黄色肉芽腫性胆嚢炎が最も疑われた。しかし、腫瘍マーカーの上昇、PET-CTでの所見を考慮すると悪性疾患は否定できなかった。診断治療目的に拡大胆嚢摘出術を施行、術中に明らかな悪性を示唆する所見は認めず、迅速病理検査でも陰性であった。永久標本でも悪性所見は認めず、黄色肉芽腫性胆嚢炎の診断となった。術後の検査で、CEAをはじめとする各種腫瘍マーカーの低下を認めた。黄色肉芽腫性胆嚢炎は、画像所見上胆嚢壁の肥厚、広汎な炎症浸潤をきたし、胆嚢癌との鑑別が診断上問題となる。特に、PET-CT陽性、腫瘍マーカー上昇を認めた症例報告も散見され、両者の鑑別は非常に困難である。そのため、同疾患の診断には種々の検査を組み合わせた総合的な判断が重要と考えられた。 |
索引用語 | 黄色肉芽腫性胆嚢炎, CEA |