セッション情報 一般演題

タイトル 101:

本邦における多症例の大腸腫瘍を対象とした分子生物学的異常の検討と生活習慣との関連

演者 伊藤 美樹(札幌医科大学 内科学第一講座)
共同演者 能正 勝彦(札幌医科大学 内科学第一講座), 五十嵐 央祥(札幌医科大学 内科学第一講座), 内藤 崇史(札幌医科大学 内科学第一講座), 吉井 新二(恵佑会札幌病院), 高橋 宏明(恵佑会札幌病院), 久須美 貴哉(恵佑会札幌病院), 細川 正夫(恵佑会札幌病院), 鈴木 拓(札幌医科大学 分子生物学講座), 山本 博幸(札幌医科大学 内科学第一講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 内科学第一講座)
抄録 【目的】本邦の大腸癌患者数は増加傾向にあり,その予防・早期発見は重要な課題である。大腸癌の前癌病変は大腸腺腫や鋸歯状病変であり,それらの遺伝子異常や生活習慣との関連を解明することは癌の減少に役立と考えられる。今回,我々は大腸癌とその前癌病変における分子生物学的な解析を行い,更に生活習慣因子との関連を検討した。【方法】対象は大腸癌(272例),腺腫(43例),鋸歯状病変[HP(hyperplastic polyp) 141例,SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp) 128例,TSA(traditional serrated adenoma) 121例]の計705例について,臨床病理学的特性とKRAS,BRAF変異,LINE-1メチル化,MSIについて検討した。また,生活習慣因子として,喫煙歴,糖尿病・脂質異常症の有無,BMIとの関連を解析した。【結果】serrated pathwayに関わるHPとSSA/Pに着目し,HP+SSA/P群とそれ以外の群とで比較したところ,HP+SSA/P群では喫煙率が71.1%と有意に高い傾向がみられた。糖尿病はHP+SSA/P以外の腫瘍群で14.4%と有意に高い傾向がみられた。また,脂質異常症とBMIは各腫瘍間で有意な傾向はみられなかった。遺伝子異常の解析では,喫煙群にBRAF変異が有意に多く,前癌病変のみの解析でも同様の傾向がみられた。【考察】喫煙はHP・SSAPの発生やBRAF遺伝子変異の危険因子であり,serrated pathwayとの強い関係が示された。禁煙によりHPやSSA/P発生の予防,大腸癌発症のリスクを軽減が期待でき,今後症例の蓄積による検討が重要であると考えられた。
索引用語 大腸腫瘍, 生活習慣