共同演者 |
前田 聡(札幌厚生病院 第一消化器科), 伊藤 彰洋(札幌厚生病院 第一消化器科), 山口 将功(札幌厚生病院 第一消化器科), 西園 一郎(札幌厚生病院 第一消化器科), 道上 篤(札幌厚生病院 第一消化器科), 乙黒 雄平(札幌厚生病院 第一消化器科), 寺門 洋平(札幌厚生病院 第一消化器科), 菊池 仁(札幌厚生病院 第一消化器科), 西岡 均(札幌厚生病院 第一消化器科), 萩原 武(札幌厚生病院 第一消化器科), 小澤 広(札幌厚生病院 第一消化器科), 黒河 聖(札幌厚生病院 第一消化器科), 今村 哲理(札幌厚生病院 第一消化器科) |
抄録 |
症例は70歳代の男性.胃癌術後のスクリーニング上部内視鏡検査にて胸部中部食道に亜全周性の表在癌を認めた.全身精査を行ったところ明らかな深部浸潤を示唆する所見はなく,遠隔臓器転移も認めなかったため内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した.病変は亜全周性であったがR0切除を目的とし全周性切除とした.術中穿孔や術後出血などの偶発症は認めず,病理組織診断は切除径 65x55 mm, 病変径 60x45 mm, squamous cell carcinoma, pT1a(pMM), ly0, v0, HM0,VM0であった.周在性2/3周以上では術後狭窄は必発であり、特に全周性切除ではステロイド局注療法でも十分な効果が得られず、頻回のバルーン拡張術を要することが多いため、近年その有用性が報告されているステロイド内服による狭窄予防法を選択した.投与スケジュールはESD術後3日目よりプレドニゾロン 30 mg/day,25 mg/dayをそれぞれ2週間.以後,5 mgずつ1週間毎に漸減し全投与期間8週間で中止した.この間,約1週間毎に内視鏡にて狭窄の有無を確認し必要があればバルーン拡張術を予定したが,ステロイド内服終了後も嚥下障害などの自覚症状なくまた,通常径内視鏡の通過も良好であった.さらに,ステロイド内服による副作用も懸念されたが食道カンジダ症のような軽微な副作用を含め観察されなかった.今回,われわれはステロイド内服単独でバルーン拡張術を回避できた食道表在癌全周性切除の一例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する. |