セッション情報 シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」

タイトル S2-10:

当院における高齢者・非高齢者に対する切除不能膵癌治療の検討

演者 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
共同演者 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 原田 一顕(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 川本 泰之(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
抄録 【目的】65歳以上を高齢者とした場合、当院での切除不能膵癌治療において、塩酸ゲムシタビン(GEM)による化学療法とBSCの年齢による差異を検討する。【対象と方法】2005.5月~2011.12月に当院で加療した膵癌194例中、外科治療施行した49例を除く、切除不能膵癌145症例。化学療法群は、PS0-2で、GEM1000mg/m2にて投与開始し、可能な限り継続した82例。BSC群は高齢、背景疾患、またはPS3-4で化学療法施行不能であった63例。【成績】今回検討した切除不能膵癌症例の年齢分布は、65歳未満26%、65歳以上74%と高齢者が多かった。化学療法群は、切除不能膵癌症例の57%で、BSC群は43%であった。化学療法群の年齢構成は、65歳未満38%、65歳以上62%であった。BSC群の年齢構成は、65歳未満10%、65歳以上90%と高齢者で多かった。年齢別の化学療法施行可能な割合は、65歳未満で84%、65歳以上で47%であった。年齢別のBSC施行割合は、65歳未満で16%、65歳以上で53%であった。化学療法継続期間における月平均GEM投与量は、65歳未満(n=30)2279mg、65歳以上(n=52)では2316mgと差は認められなかった。化学療法施行群(n=82)の生存期間中央値は、全体で254日、BSC施行群では60日(n=63)であった。化学療法群の生存期間中央値を臨床病期別に検討すると、stage4a(n=19)で486日、stage4b(n=63)で201日であった。化学療法群の生存期間中央値を年齢別に検討すると、65歳未満では243日、65歳以上では291日と差は認められなかった(Log rank test P=0.759)。また、化学療法群の治療経過中累積入院期間の中央値は、65歳未満では115日、65歳以上では136日と差は認められなかった。有害事象に関しては、骨髄抑制に関して検討したが、65歳未満、65歳以上にて、大きな差は認められなかった。【結論】実際の臨床現場において、切除不能膵癌のGEMによる化学療法は、PS0-2に限って施行すれば、高齢者を65歳で分けた場合、高齢者、非高齢者とも、同等の生存期間の延長、認容性が認められた。
索引用語 膵癌, 治療