セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 189:

無黄疸で発見された早期胆管癌(m癌)の1切除例

演者 沼田 泰尚(札幌医科大学 内科学第一講座)
共同演者 松永 康孝(札幌医科大学 内科学第一講座), 志谷 真啓(札幌医科大学 内科学第一講座), 阿久津 典之(札幌医科大学 内科学第一講座), 本谷 雅代(札幌医科大学 内科学第一講座), 高木 秀安(札幌医科大学 内科学第一講座), 佐々木 茂(札幌医科大学 内科学第一講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 内科学第一講座), 今村 将史(札幌医科大学 外科学第一講座), 木村 康利(札幌医科大学 外科学第一講座), 平田 公一(札幌医科大学 外科学第一講座)
抄録 胆管癌は閉塞性黄疸を契機に発見されることが多く, 無症状で発見され手術に至る症例は少ない. 今回, CTにて総胆管結石を疑われて行った超音波内視鏡で, 深達度mの早期胆管癌を発見し, 極早期に治癒切除を得られた症例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.【症例】67歳, 女性【主訴】発熱【既往歴】慢性C型肝炎, 子宮筋腫, 子宮内膜症, 左唾液腺腫瘍, 左尿管癌術後【経過】2か月前から繰り返す発熱を主訴に近医を受診した. 腹部超音波検査で左水腎症を認め, 11月に当院泌尿器科に紹介となった. 精査にて左尿管癌の診断となったが, その際の造影CT検査にて, 総胆管結石落石が疑われ, 精査目的に当科紹介となった. EUSにて胆管膵管合流部付近の下部胆管内腔に突出するφ3mm大の桑実状隆起を認めた. 腫瘤内部エコーは比較的均一で, 胆管粘膜よりやや低エコーであった. 病変は限局的で, 周囲胆管粘膜の肥厚は認めず, また胆石・総胆管結石は認めなかった. MRCPでは描出不良な下部胆管のOddi筋支配領域に近接しているため明瞭な画像は得られず, 再検したCTでも早期胆管癌で指摘されることが多いとされる濃染・壁肥厚といった所見にも乏しく, 同部に病変を指摘するのは困難であった. 他Modalityでの再現性に乏しく, 部位的にPapillary foldを見ていた可能性も考えられたため, さらなる精査目的にERCを施行した. 胆管の直接造影にて内腔に突出する結節様隆起を認めたが, 同部からの生検では悪性所見は得られなかった. IDUSでも腫瘍は明瞭に描出されていたため, 画像所見からは悪性の可能性が除外できなかった. 3か月後の再検では, 経乳頭的な胆管生検で同部より異型上皮を認め, 腺癌を強く疑う所見が得られた. この時の直接胆道造影でも肝側胆管の毛羽立ち・壁硬化像といった所見は認めなかったが, 術式決定目的に行ったマッピング胆管生検にて, 中部胆管から異型上皮を認めたため, 膵頭十二指腸切除術となった. 術後病理組織診断ではpapillary adenocarcinoma, INFα, ly0, v0, pn0, m, pHinf0, pGinf0, pPanc0, pDu0, pA0, pN0, pHM0, pEM0, pT1N0M0, Stage1であった.
索引用語 胆管癌, EUS