セッション情報 シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」

タイトル 100:

当科における80歳以上大腸癌症例の検討

演者 山田 健司(北海道大学 消化器外科1)
共同演者 崎浜 秀康(北海道大学 消化器外科1), 皆川 のぞみ(北海道大学 消化器外科1), 下國 達志(北海道大学 消化器外科1), 本間 重紀(北海道大学 消化器外科1), 高橋 典彦(北海道大学 消化器外科1), 武冨 紹信(北海道大学 消化器外科1)
抄録 【背景】近年、急速な高齢化社会の到来や医療技術の進歩に伴い80歳以上の超高齢者に対して手術を行う機会が増加している。しかし、超高齢者の場合には、手術の適応、術式の検討、術前術後の合併症への対応などが、特に重要である。今回当科で施行した80歳以上大腸癌症例に対し、80歳未満の患者との違いを比較検討した。【対象】2010年1月から2012年7月までの当科で施行した大腸癌切除症例は91例(80歳以上14例)。平均年齢は80歳未満が65.7歳(25-79)80歳以上が82歳(80-88)であった。手術術式・時間・出血量、術後在院日数、術前術後合併症、術後補助療法の有無につき検討した。【結果】80歳以上における癌占拠部位はC:1 A:2 T:3 D:2 S:2 R:2であった。術式では腹腔鏡手術の割合や廓清度について有意差は認めなかった。(P=0.1)80歳以上で動脈硬化が著明なため、吻合せずハルトマン手術に変更した症例を1例認めた。平均手術時間、出血量についても有意差は認めなかった。(P=0.6)術後在院日数日においても有意差はなかった。術前合併症では循環器合併症、耐糖能異常について有意差は認めなかったが(P=0.62、0.19)呼吸器合併症については80歳以上で多く認めた。(P<0.05)術後合併症については4例認めたが有意差は認めなかった。(P=0.3)呼吸器合併症は認めなかった。80歳以上では術後化学療法を選択した症例はなかった。【考察】80歳以上では術前に呼吸器合併症が多く認めるが、術前術後のリハを行う事で安全に手術を施行できると思われた。また、動脈硬化の程度など術中判断により術式の変更も視野に入れ手術を行うべきである。
索引用語 大腸癌, 高齢者