セッション情報 | シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」 |
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タイトル | 107:高齢者(75歳以上)に対する大腸ESDの治療成績と安全性 |
演者 | 村上 佳世(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
共同演者 | 野村 昌史(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 三井 慎也(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田沼 徳真(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 浦出 伸治(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 西園 雅代(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田中 一成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松波 幸寿(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
抄録 | 【背景と目的】当センターでは,治療の適応がある病変に対しては年齢に関係なく大腸ESDを施行している.今回,75歳以上の高齢者に対する大腸ESDの治療成績について検討する.【対象と方法】2007年4月から2012年11月までにESDを施行した大腸上皮性腫瘍174例177病変を対象とした.75歳以上の高齢者群(n=47)と75歳未満の非高齢者群(n=130)の2群に分け,1)併存疾患の有病率,2)抗血栓薬内服率,3)腫瘍径,4)切除時間,5)偶発症発生率,6)病理組織診断,7)一括切除率,8)治癒切除率,9)非治癒切除例の転帰について比較検討した.【結果】1)併存疾患の有病率:高齢者群53%(25/47),非高齢者群22%(29/130).2)抗血栓薬内服率:高齢者群38%(18/47),非高齢者群13%(17/130).3)腫瘍径(mm):高齢者群11-147(中央値30),非高齢者群8-92(中央値29).4)切除時間(分):高齢者群15-350(中央値80),非高齢者群20-270(中央値65).5)偶発症発生率:a)穿孔:高齢者群0%(0/47),非高齢者群7%(10/130).B)後出血:高齢者群2%(1/47),非高齢者群4%(5/130).6)病理組織診断(腺腫/粘膜内癌/SM1000μm未満/SM1000μm以深):高齢者群16/25/1/5,非高齢者群63/42/12/13.7)一括切除率:高齢者群89%(42/47),非高齢者群93%(121/130).8)治癒切除率:高齢者群81%(38/47),非高齢者群85%(111/130).9)非治癒切除例の転帰:高齢者群非治癒切除例は9例で,そのうち3例(33%)に追加外科切除を施行したが,遺残を認めた症例はなかった.ESD後の経過観察期間は3~24ヶ月(中央値12ヶ月)で,1例は16ヶ月後に再発を認め外科切除を施行した.非高齢者群非治癒切除例は19例で,そのうち12例(63%)に追加外科切除を施行し,2例に遺残を認めた.経過観察期間は3~27ヶ月(中央値24ヶ月)で,1例は12ヶ月後に再発を認めEMRを施行した.【まとめ】高齢者に対する大腸ESDの治療成績は,非高齢者群に比べて一括切除率・治癒切除率が幾分低かったが,ほぼ同等であった.また,高齢者群では抗血栓薬内服や併存疾患が多いにも関わらず,非高齢者群と比較して偶発症発生率に差はみられなかった. |
索引用語 | 大腸ESD, 高齢者 |