セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 034:

FOLFIRINOX療法による三次治療が奏功した切除不能進行膵癌の1例

演者 和田 浩典(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 嘉成 悠介(札幌医科大学 第4内科)
抄録 切除不能進行再発膵癌に対する標準治療であるgemcitabine (GEM)単剤療法のMSTは6~7か月であり、GEM baseの併用化学療法がさらにOSを延長したとする報告はほとんどない。GEST試験 (2011年)によりS-1単独療法の非劣性が示され、現在のところ、本邦では患者の状態により治療法を判断することが多いのが現状である。一方、75歳以下のPS良好の転移性膵癌に対するFOLFIRINOX療法がGEM単剤に比してOSおよびPFSを有意に延長することが報告された(N Engl J Med 2011)が、本邦での治療成績の報告はなく、その治療時期に関する位置付けについても定まっていない。今回、FOLFIRINOX療法による三次治療が奏功した切除不能進行膵癌の1例を経験したので報告する。症例は69歳、男性。平成24年2月初旬より心窩部痛を認め、2月下旬に前医受診。腹部CTで膵体尾部に7cmの腫瘍と肝内SOL、上部消化管内視鏡検査で体上部後壁に易出血性の隆起性病変を認めたため当科へ紹介入院となった。膵尾部癌による胃浸潤、脾動静脈浸潤、多発性肝転移と診断し、アルゴンプラズマ凝固およびヒストアクリル・リピオドール散布による内視鏡止血術を施行後、一次治療としてGEMを開始した。1コース終了後のCTで縮小傾向を認めたが、4コースでPDとなった。二次治療として、GEM+S-1 (GS療法)を開始したが、2コース後PDとなった。PS 1で全身状態が良好であったことから、十分なインフォームドコンセントを得た後にFOLFIRINOX療法を8月下旬より開始した。4コース終了後の11月のCTで原発巣、肝転移の著明な縮小効果が認められ、効果判定PRであった。腫瘍マーカーでは、治療開始前 CEA 56.2 ng/ml、CA19-9 171600 U/mlから、それぞれ、3.8 ng/ml、80 U/mlへと低下した。有害事象 (CTCAE v4.0)としてGrade 3の好中球減少、Grade 3の発熱性好中球減少症を認めた。予防的なG-CSF投与をしながら、本人の希望もあり、3週毎の投与となっているものの、治療継続していく予定である。
索引用語 膵癌, FOLFIRINOX