セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 191:

EST切開後出血に対するcovered metallic stent留置による止血術の治療成績

演者 和田 浩典(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院内科), 嘉成 悠介(札幌医科大学第4内科)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭括約筋切開術 (EST)に伴う偶発症としての術中出血はしばしば経験される。その止血方法として、エピネフリン添加生食散布、バルーン圧迫法、クリッピング、局注法 (HSE、フィブリン接着剤)、凝固法 (ヒートプローブ・アルゴンプラズマ)などが報告されているが、複数の手技を用いることはERCPの偶発症の増加や手技時間の延長に繋がり、患者に対しては不利益である。近年、covered metallic stent (CMS)留置による止血術の有用性の報告が散見されるが、未だ確立した手技とは言えない。今回、ESTの術中出血に対してCMS留置による止血術を行い、その有用性と安全性について検討した。【方法】対象は2011年5月~2012年10月にEST術中出血に対してCMS留置による止血術を試みた4例 (年齢65~80歳、平均74歳、男性3例、女性1例)。疾患内訳は胆管結石1例、膵頭部癌3例 (切除不能2例、術前1例)で、肝硬変などの基礎疾患を有する例、抗血栓薬服用例、血液凝固異常を呈した例は認めなかった。全例被覆型パピロトーム (Clever-Cut 3V、Olympus)を用いてガイドワイヤー誘導下に小~中切開でESTを施行した。使用CMSは10mm径、6cm長のcovered WallFlex (Boston scientific)で、partially-covered 1例、fully-covered 3例であった。検討項目は1) 治療成績、2) 偶発症、とした【成績】1) 初回止血方法は全例エピネフリン添加生理食塩水散布で、1例にバルーン圧迫、ヒートプローブによる凝固を追加したが、全例活動性出血が持続し、CMSを留置した。留置後出血を認めた1例にHSE局注を追加した。2) 全例後出血は認めなかった。HSE局注を追加施行した1例は軽症膵炎を来し、翌日にCMS抜去後plastic stentおよび膵管stentを留置した。胆管結石症例で留置した1例で胆摘後に胆管炎を来し抜去した (留置期間17日)。切除不能膵癌症例で留置51日後に閉塞性胆管炎を来し抜去した。【結論】EST術中出血に対するCMS留置による止血術は簡便で抜去も容易であるが、留置後の偶発症を念頭に置き対処することが肝要である。今後、多施設での前向き研究が必要である。
索引用語 EST, 止血