セッション情報 シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」

タイトル S1-4:

当院における高齢者胃癌・大腸癌の化学療法の現状

演者 大原 克仁(KKR札幌医療センター 消化器科)
共同演者 松薗 絵美(KKR札幌医療センター 消化器科), 横山 文明(KKR札幌医療センター 消化器科), 石橋 陽子(KKR札幌医療センター 消化器科), 菅井 望(KKR札幌医療センター 消化器科), 関 英幸(KKR札幌医療センター 消化器科), 三浦 敦彦(KKR札幌医療センター 消化器科), 藤田 淳(KKR札幌医療センター 消化器科), 鈴木 潤一(KKR札幌医療センター 消化器科)
抄録 【背景】高齢者胃癌・大腸癌患者に対する化学療法はPS(ECOG Performance Status)良好例で近年 積極的に行われている。今回、我々はKKR札幌医療センターにて化学療法を施行した高齢者胃癌・大腸癌患者に対し、その有用性と安全性について検討する。【対象と方法】2007年から2011年までに当院にて化学療法を施行した70歳以上の胃癌・大腸癌患者を対象とし、retrospectiveに診療録を調査した。患者背景、検査データ、転移部位、また進行・再発の胃癌・大腸癌患者については、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を調査した。【結果】2007年から2011年までに当院にて診断・治療(内視鏡治療を除く)を行った胃癌症例は165例であった。このうち、化学療法施行は術後補助化学療法が26例、切除不能進行再発例が29例であった。進行再発29例の年齢中央値は76歳(70-88歳)、性別は男性21例、女性8例であった。治療レジメンは、単剤療法が14例、2剤以上の併用療法が15例であった。生存期間中央値は16.5ヶ月(95%CI 11.0-22.0ヶ月、Cut-off 2012年11月30日)と良好であったが、1年以上の生存症例16例の中には標的病変を認めない症例が7例含まれていた。また、治療開始後3ヶ月以内の早期死亡は4例(13.8%)と全身状態悪化にて転院を要した症例は2例(6.9%)あった。【結論】高齢者における化学療法は若年者同様の治療効果が見込める場合があるが、早期死亡のリスクもあるため、症例選択が重要であると考える。発表時には、大腸癌のデータも合わせて提示する。
索引用語 化学療法, 高齢者