セッション情報 一般演題

タイトル 109:

知床で発症した大腸癌イレウスの2例~地域病院における大腸ステントによる術前管理の有用性~

演者 小野寺 学(網走厚生病院 内科消化器科)
共同演者 川岸 直樹(網走厚生病院 内科消化器科), 佐野 逸紀(網走厚生病院 内科消化器科), 阿部 暢彦(網走厚生病院 内科消化器科), 長 いく弥(網走厚生病院 内科消化器科), 内田 多久實(網走厚生病院 内科消化器科), 藤永 明(網走厚生病院 内科消化器科)
抄録 【背景】大腸ステントは2012年に承認され,閉塞性イレウスに対する緊急手術の回避や遠方への移動を可能とし,術前のQOLを格段に向上させる.知床で大腸癌イレウスを発症し,術前管理としての大腸ステントが有効であった2例を報告する.【症例1】70代,男性.山口県からの旅行者.2012年6月に山口県から知床を訪問し,初日の夕方より腹痛を認め,ウトロの診療所から斜里の病院を経由し,大腸癌イレウス疑いにて夜間に当科を受診した.CTにてS状結腸癌の閉塞性イレウスと診断し,内視鏡下に経肛門イレウス管を留置した.地元での手術の希望があり,第7病日に大腸ステント(WallFlex colonic stent, 22×90mm)を留置し,第12病日に羽田経由で山口へ転院となった.大腸ステント留置後19日目にS状結腸切除術を施行され,病理結果はstageIIであった.【症例2】60代,男性.石川県からの出稼ぎ労働者.2012年6月に知床で労働中に腹痛を認め,ウトロ診療所から斜里の病院を経由し,大腸癌イレウス疑いにて夜間に当科を受診した.CTにてS状結腸癌の閉塞性イレウスと診断し,同日夜間に内視鏡下に大腸ステント(WallFlex colonic stent, 22×90mm)を留置した.第4 病日から経口摂取を再開し,函館での手術を希望され,第7病日に函館の病院へ転院となった.大腸ステント留置後22日目にS状結腸切除術を施行され,病理結果はstageIIであった.【考察/結語】2例とも大腸ステントが有効で,航空機で移動し,希望の土地での手術が可能であった.1例目は大腸ステントの在庫がなかったため,発症時に大腸ステントを留置できなかったが,2例目は大腸ステントの在庫を用意していたため,発症時に大腸ステントの留置が可能であった.今後も地域において大腸癌イレウスに遭遇する可能性は高く,事前にステントの在庫を確保するなどの体制を整え,適切な術前マネージメントを図らないとならない.
索引用語 大腸ステント, 術前管理