セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 021:

再発性急性重症膵炎を来した潰瘍性大腸炎の1例

演者 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 和田  浩典(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 嘉成 悠介(札幌医科大学第四内科), 小野 道洋(札幌医科大学第四内科)
抄録 炎症性腸疾患では消化管以外にも合併症を来すことが知られている。膵酵素の上昇は高頻度で認められるが、急性膵炎を発症する例は少ないとされている。炎症性腸疾患患者の急性膵炎を発症する機序は不明であるが、自己免疫的要因や栄養障害、薬剤の影響などが要因として考えられている。今回、潰瘍性大腸炎 (UC)に合併し、再発性急性重症膵炎を来した1例を経験したので報告する。症例は30歳代、男性。統合失調症。家族歴に特記すべきことなし。飲酒歴なし。平成7年よりUC (全大腸炎型)で、sulfasalazine (平成8年より5-ASAに変更)にて加療 (増悪時にその都度入院加療され、prednisolone (PSL)を投与)されていた。平成23年3月よりPSLを中止し、5-ASAの内服のみで経過観察されていた。平成23年4月中旬に心窩部痛あり、血清amylase 689 IU/ml、lipase1247 IU/mlと上昇を認め、急性膵炎の診断で入院。厚労省の重症度判定基準では、予後因子1点 (PaO2 59.7 mmHg)、CT Grade 2の重症急性膵炎と診断し、蛋白分解酵素阻害剤などの保存的治療により軽快し、5月中旬に退院となった。CT、MRCP、EUSでは胆道系に異常を認めず、血清triglycerideやIgG4の上昇はなく、膵炎消褪後に施行したERPでも膵管に異常はなかった。以後、外来通院加療中であったが、平成24年7月上旬に再度心窩部痛を認め入院となった。血清amylase 686 IU/ml、lipase1555 IU/mlであり、予後因子1点 (CRP 24.29 mg/dl)、CT Grade2の重症急性膵炎と診断し、保存的治療で改善し、7月下旬に退院となった。経過中に内服薬の変更はなかった。
索引用語 膵炎, 潰瘍性大腸炎